近藤史恵
2008年05月06日
近藤史恵「シェルター」
シェルター
「カナリヤは眠れない」「茨姫はたたかう」に続く、シリーズ3作目の「シェルター」も読了です。表紙に谷口幸一氏によるシリーズのメンバーが描かれているのですが、これまで自分で頭に描いてきた人物像とそんなにかけ離れていなくて、より一層、愛着が持てるような気がしました。
今回は前2作以上に、整体師の合田先生の助手をしている恵と歩という姉妹に隠された問題がクローズアップされて、そこにやはり心に問題を抱えた17歳の少女が関わって物語が展開していきます。
タイトルのシェルターとは一時の逃避場所。でも人間に必要なのはシェルターではなくて、待っていてくれる『人』や『家』なのだと気づかせてくれる作品。終章の手前で合田先生が語る、次の言葉が胸に響きます。
それが学校での陰湿ないじめであれ、社会での○○ハラスメントと呼ばれるものであれ。
合田先生はこんなことも言っています。
読むほどに癒されるこのシリーズ。「シェルター」が刊行されたのは平成15年秋なので、そろそろ近藤史恵さんが4作目を書いてくださることを切に祈っています。
「カナリヤは眠れない」「茨姫はたたかう」に続く、シリーズ3作目の「シェルター」も読了です。表紙に谷口幸一氏によるシリーズのメンバーが描かれているのですが、これまで自分で頭に描いてきた人物像とそんなにかけ離れていなくて、より一層、愛着が持てるような気がしました。
今回は前2作以上に、整体師の合田先生の助手をしている恵と歩という姉妹に隠された問題がクローズアップされて、そこにやはり心に問題を抱えた17歳の少女が関わって物語が展開していきます。
タイトルのシェルターとは一時の逃避場所。でも人間に必要なのはシェルターではなくて、待っていてくれる『人』や『家』なのだと気づかせてくれる作品。終章の手前で合田先生が語る、次の言葉が胸に響きます。
『他人を傷つけずにいられない人間はな、そんなことをせえへんでも生きられる人間よりも、ずっと不幸なんや。〜中略〜そいつらは、他人を傷つけているようで、自分を鬼みたいなもんに食わせているんや。ある日、自分のやってことを振り返ったとき、自分の中を鬼が食い荒らしていることに気づいて茫然とするか、もしくはすべてを鬼に食われてなにもなくなってしまうか、そのどちらしかあらへんねん』
それが学校での陰湿ないじめであれ、社会での○○ハラスメントと呼ばれるものであれ。
合田先生はこんなことも言っています。
『ぶっちゃけていえば、自分と何人かの友達だけ、自分のことを好きやったら、人生なんてうまいこと行くもんやで。おれはそう思っている』
読むほどに癒されるこのシリーズ。「シェルター」が刊行されたのは平成15年秋なので、そろそろ近藤史恵さんが4作目を書いてくださることを切に祈っています。
- ブログネタ:
- オススメの本はありますか? に参加中!
2008年05月04日
近藤史恵「カナリヤは眠れない」「茨姫はたたかう」
カナリヤは眠れない (ノン・ポシェット)
茨姫はたたかう (祥伝社文庫)
デビュー作の「凍える島」に続いて、近藤史恵の「カナリヤは眠れない」と「茨姫はたたかう」を読みました。この2冊は、どこか風変わりな整体師と、心の奥に闇を持つ姉妹(整体師の助手)、週刊誌の記者小松崎が活躍するミステリー。
事件そのものの謎を追うというより、登場人物たちの掛け合いが絶妙で、読み終わって心が癒されて元気が出てくる小説です。
整体師の合田先生によって体のゆがみを治してもらった後、小松崎くんがつぶやく「たしかにあの首の痛みは、身体の悲鳴だったのだと思う」という言葉や、合田先生の「人間は生まれつき、まっすぐに生きるようになっています。歪められた心と身体が悲鳴を上げている、それが原因です」という言葉など、私自身が整体の先生には常々お世話になっているせいか、とても説得力があって、登場人物たちに自分を置き換えながら反省しつつ、元気をもらいながら読み進みました。
近藤史恵という作家が大阪生まれの大阪在住(しかも大阪芸術大学文芸学科卒業)という生粋の大阪人なので、舞台も関西、口調も関西弁のため、小説に独特のテンポがあります。先に読んだデビュー作よりはこちらのほうが私は断然好き。出合えてよかったなと思える作品でした。
このシリーズの3冊目はないのかと探したら、同じ祥伝社から単行本(前2作はどちらも文庫書き下ろし)で「シェルター」というのが出ていることがわかり、すぐに購入。昨日、届いたので読むのが楽しみです。
茨姫はたたかう (祥伝社文庫)
デビュー作の「凍える島」に続いて、近藤史恵の「カナリヤは眠れない」と「茨姫はたたかう」を読みました。この2冊は、どこか風変わりな整体師と、心の奥に闇を持つ姉妹(整体師の助手)、週刊誌の記者小松崎が活躍するミステリー。
事件そのものの謎を追うというより、登場人物たちの掛け合いが絶妙で、読み終わって心が癒されて元気が出てくる小説です。
整体師の合田先生によって体のゆがみを治してもらった後、小松崎くんがつぶやく「たしかにあの首の痛みは、身体の悲鳴だったのだと思う」という言葉や、合田先生の「人間は生まれつき、まっすぐに生きるようになっています。歪められた心と身体が悲鳴を上げている、それが原因です」という言葉など、私自身が整体の先生には常々お世話になっているせいか、とても説得力があって、登場人物たちに自分を置き換えながら反省しつつ、元気をもらいながら読み進みました。
近藤史恵という作家が大阪生まれの大阪在住(しかも大阪芸術大学文芸学科卒業)という生粋の大阪人なので、舞台も関西、口調も関西弁のため、小説に独特のテンポがあります。先に読んだデビュー作よりはこちらのほうが私は断然好き。出合えてよかったなと思える作品でした。
このシリーズの3冊目はないのかと探したら、同じ祥伝社から単行本(前2作はどちらも文庫書き下ろし)で「シェルター」というのが出ていることがわかり、すぐに購入。昨日、届いたので読むのが楽しみです。
- ブログネタ:
- オススメの本はありますか? に参加中!