本のこと

2005年12月05日

スティーブン・キングが読めない!

ここのところ、ずっと本のことを話題にできていなかったのは
忙しかったからだけではなくて、1冊の本につっかかって
いたからなんです…

タイトルは控えますが、スティーブン・キングの本。
これ、長男に借りたのですが、1ページ読むのにも
行ったり来たりで、ちっとも作品世界に入っていけなくて。

まず、外国の作品は人の名前が覚えられないでしょ、
中に出てくるジョークがわからないから、つまらないでしょ、
同じ場面にとどまって、ずっと語っているので
なんだか飽きてきちゃうでしょ…

1日1冊ペースを保持してきた私なのに、これです。

でもね、スティーブン・キング大好き!の息子が
どうしても私と作品について語り合いたいらしく
「読んだ?」と何回も聞くので放り出すわけにはいかず
ここ1ヶ月近くがんばってきたんですが、ついにリタイア!

ごめんね、息子よ。
「死のロング・ウォーク」とか
「グリーンマイル」とか
「ゴールデン・ボーイ」とか
「ショーシャンクの空に」の原作とか
ほら、私にだって気に入っているスティーブン・キングの作品が
けっこうあるんだけど、だめなやつもあるんです…

それが不思議なことに夫は上・下合わせて
3日で読めたっていうんですから。

だから、世の中にはたくさんの作家がいて、
それぞれにファンがいて、
それでもまだ新しく作家が誕生していくんじゃないのかな。

本が好きなのに、好きな本が読めないのは
ストレスがたまります…


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2005年11月18日

浅田次郎「地下鉄(メトロ)に乗って」

「椿山課長の7日間」も泣かせる話でしたが、この「地下鉄(メトロ)に乗って」も、こらえてもこらえてもこみあげるものがあり、満員電車の中で変に思われないかとあせったくらい。浅田次郎の泣かせのツボには脱帽です。

地下鉄(銀座線)に乗るたびに、30年も前の世界に、そしてさらに昔の世界にタイムスリップしてしまう主人公。自殺した兄と、ずっと反発し続けた父の生き様をまざまざと見ることになった主人公の心の揺れが見事に描かれています。

仕掛けがいっぱいの話なので、詳しく語るとネタバレになってしまうので、涙のツボを書けないのが残念ですが、本当にたくさんのことを考えさせられる小説でした。

自殺した兄が生きているときにまで遡ったのだから、主人公はその自殺を防げたのか?……否。
「過去」にふれてしまった主人公をめぐる「今」はどのように変化した?結末はハッピーエンド?……これまた否。

結末は切なく苦しいです。でも、納得できる気もします。
今、銀座線に乗って外苑前まで通勤しているので、余計に感情移入してしまったのかもしれません。

電車の中で読むのは危険なので、寝る前などにご自宅で読むことをおすすめします。泣くのをこらえると感動が半減してしまいますもの。


*どうやら、2006年秋公開で映画化されるようですね。映像でも観てみたいような、このまま自分の世界を大切にしておきたいような、複雑な気持ちです。

地下鉄(メトロ)に乗って


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2005年11月05日

辻仁成「目下の恋人」

目下の恋人

〜一瞬が永遠になるものが恋
 永遠が一瞬になるものが愛〜

のっけから、帯の言葉をそのまま引用で気が引けますが、まさにそのとおりだと思ったので…

久々の恋愛小説、久々の辻仁成。で、短編です。
さまざまな“二人”を取り上げ、その一瞬を切り取ったこの短編集。表題作の「目下の恋人」がやはり出色だと思いました。

目下とは、つまり当面の…ということ。もしも恋人に「目下の恋人です」と紹介されたら辛いはず。でも、ここに登場する“彼”の心の裏には、もっと深い思いがあったわけで。だってね、恋人っていうのは、元々「目下」なんですもの。たぶん、永遠ではありえない。このへんの感じ、うまく説明できないので、何言ってんだと思われた方は、この作品を読んでみてください。

ところで、この作品集で気になったこと。「好青年」という作品があるのですが、どう考えても、この作品を読んだことがある気がして。で、よーく考えてみたら、あの名作「サヨナライツカ」とモチーフが一緒なんです。この作品が書かれたのは、1998年、「サヨナライツカ」が刊行されたのが、2001年。だって、光子といい、沓子といい、登場人物の名前まで同じなんです。ただ、作品の舞台がニューヨークからアジアに変わっている。そして、一大長編に仕上げている。

一度発表した短編を元にイメージを膨らませて、長編に再構築して再び世に出すということがあるのですね。

どうして、こんなに気になるかというと、「サヨナライツカ」は辻仁成の作品の中で1、2を争うほど好きな作品だから。後半は特に号泣しながら読んだ記憶があります。沓子…忘れられない女性です。

なので、この2冊を続けて読むのもおすすめです。

サヨナライツカ


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2005年11月03日

稲葉稔「天国への片道切符」

ひょんなことからブログをのぞくことになり、今ではちょくちょく私のブログにもコメントを寄せてくださっている稲葉稔さんの作品「天国への片道切符」を読みました。

前回読んだのが、先生の時代小説。今回は、実在した俳優の“赤木圭一郎”がモチーフになっている小説です。彼の経歴などを元に、フィクションとして読み応えのある物語に仕立てられており、さまざまな引き出しを持っていらっしゃるのだなあと感心してしまいました(…ちょっと僭越な発言でしたね、先生ごめんなさい)。

桐生順平という、赤木圭一郎と同じ時代を生きたカメラマンの回想という設定なので、私のように「赤木圭一郎」を知らない世代でもぐいぐい引き込まれます。桐生順平自身の生き方や、迷いや苦悩の部分に、とても共感できるのもこの作品の魅力だと思いました。

今度DVDを借りてきて、赤木圭一郎が出演する作品をじっくり観てみたいです。

天国への片道切符


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2005年10月24日

稲葉稔「裏店とんぼ〜研ぎ師 人情始末」

久々の時代小説を堪能し、今まであまり読まずにいたことを後悔しています。

稲葉稔さんの「裏店とんぼ〜研ぎ師 人情始末」は、そのタイトルからもわかるように、貧乏長屋で研ぎ師をして生計をたてている荒金菊之助が主人公。直心影流の使い手で、かつては八王子千人同心だったけれど、今は浪人となっています。

でね、この菊之助が人情に厚いといえば聞こえがいいけれど、少々おせっかいのところもあり、父を亡くした子どもの力になろうとすることから話が始まります。

盗賊一味たちとの殺陣の場面も迫力があっていいけれど、この作品の楽しさや魅力は、江戸の下町の庶民の食べ物がいろいろと出てくることかもしれません。それに地名が、私が日ごろ打ち合わせなどでよく出かけるところが多いのも、時代小説なのに親近感がわいて楽しいんですよね。冒頭の甘い冷や水と白玉や、馬喰町3丁目の小さな鰻屋の場面、箱崎橋をわたって深川を目指す…などなど。

一時は悪人の仲間に入っていた三蔵が改心して活躍したり、書道の達人のお志津さんが長屋に引っ越してきたりと、これからが楽しみな伏線もいろいろ。早く続きを書いてくださーい!とお願いしたい気持ちです。

この作品をシリーズ化して、何冊か出版された暁には、ぜひぜひ映像でも見たいなあと思いました。映画というよりはね、毎週、ほのぼのとした人情話を楽しませてくれるテレビの方がお似合いかなと。菊之助は誰がいいかな?志津さんにぴったりなのは誰?と考えながら読むのもちょっといいじゃないですか。

稲葉先生、続きをどうぞよろしくお願いします!

裏店とんぼ―研ぎ師人情始末


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2005年10月18日

稲葉稔さんの本が届きました!

稲葉作品
Amazonに注文していた、稲葉稔さんの本が3冊届きました。実は、何かの言葉で検索をしていて、稲葉稔さんのブログにたどりつき、とてもおもしろくて興味深いので毎日チェックするのが日課になっていたんですね。それで、私がコメントを寄せたことをきっかけに、稲葉さんからもコメントをいただいたりして、とても光栄なのですが…

本好きを自称しているsallyなのに稲葉さんの作品を読んだことがなく、非常に心苦しい思いをしておりました。それで、Amazonに注文、ようやく手元に届いた次第です。

昭和20年の青春ラブストーリー「二十歳の変奏曲」、赤木圭一郎を主人公にした追悼小説、そして痛快時代活劇の「裏店とんぼ〜研ぎ師人情始末〜」と、多彩な作品群に胸がわくわくしています。

文庫本ということで、まず最初に手に取った「裏店とんぼ」。まだほんの数ページしか読んでいませんが、時代小説は本当に久しぶり! でも、決して時代劇とか時代小説の世界が嫌いなわけじゃないんです。私が小学校の低学年のころ、一番楽しみにしていたのは、近衛十四郎さんが主役の「月影兵庫」や「花山大吉」で、これらの番組が最終回のときは布団の中で泣いてしまったくらいのファンだったのですから(って、若い世代の方には何のことやら、わからないでしょうねー。ちなみに近衛十四郎さんは、あの松方弘樹さんや目黒裕樹さんのお父さんです)。

ということで、読了したら、ここでご報告させていただきます。

↓稲葉稔さんのブログです。最近先生は、かわいい子猫ちゃんを飼い始めたので、猫好きの方、必見です!
【稲葉稔の日記もどきda!】http://mutyudo.exblog.jp/


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2005年10月17日

角田光代「エコノミカル・パレス」

今年4月に角田光代さんにインタビューをするにあたって、2日で8冊も読んだ角田作品。実際にご本人にお会いしてから、すっかり彼女のファンになり、その後も作品を見かけると手に取るようになっていたのですが…

正直言うと、私は角田さんのエッセイにはとても共感を覚えるのですが、小説の方にはいまひとつ馴染めない部分がありました。それはたぶん、20歳で結婚してしまい、まもなく2人の子を出産し、「生活」というものに追われて生きてきた私の生き方と、彼女の作品に出てくる主人公たちの生き方とがあまりにかけ離れているものだったからだと思います。

アジアを中心とする世界の国々に放浪していたり、いわゆるフリーターの暮らしで、きちんと就職していない生活だったり、だけど、何かを探していることや喪失感のようなものが痛いほど伝わって読み手の心をヒリヒリとさせる作品たち。

ようやく本題に入りますが、この「エコノミカル・パレス」は、これまでの作品の中で、いちばん腑に落ちた感のある納得のいく1冊でした。私は本を手に取ると解説から読み始めてしまうクセがありますが、藤野千夜さんの解説がとても素晴らしかったんですね。

ちょっと引用させてもらうと…

「はじめてこの作品を読んだとき、私はそれまで読みつづけた角田作品のあれやこれやが、一大長編となって迫ってくるのを感じ、しかも今まさに閉じられようとしているのだと知っておののいた。本気で。ずいぶん。つまりこの作品は、若者がフリーターでいられた時代と、その中でもがいて来た自作の登場人物たちに、新たな地平をめざす著者が一旦の決着をつけた小説だといえる」

まさに、その通りなんです。今までの作品が全部結びついて一つの長編のように感じられ、収束を迎えようとしている。私の心の中も、すっきりとつじつまがあって、2002年以降の新しい角田作品へと気持ちを新たに進んでいけるような気がしてなりません。

はい、読んでよかった1冊でした(主人公が、ライター<彼女は雑文書きと表現していますが>だったのも、私を引きつける一因だったかも)

エコノミカル・パレス


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2005年10月15日

鷺沢萌「私の話」

創刊25周年を迎えて装丁など斬新で思わず手にとりたくなるようなものに生まれ変わった河出文庫から出版された鷺沢萌さんの「私の話」を読みました。

私の目には都会的でスタイリッシュな作家さんだというふうに映っていて、自ら命を絶ったのはどうしてだろうと不思議だったのですが…

これまで彼女の作品を2冊くらいしか読んでいなかった私は、この、鷺沢萌“最初で最後の私小説”を読んで、何だか打ちのめされた思いになりました。朝鮮半島の血が1/4ほど、混ざっていたことも、田園調布の裕福な家庭に育ちながら、学生時代に父が事業に失敗してその家を追われたことも、“血”のことを知って、韓国に留学したことも、20代前半に結婚・離婚の経験があったことも、何も知らなくて、ただただ呆然としてしまったのでした。

祖母の秘密を作品の中で明かしたことで、どれだけ祖母が傷ついていたかを知ったときから、まるで十字架を背負ったように、自分を追い詰めていったように思います。彼女は「駆ける少年」(泉鏡花文学賞受賞作品)の中で、父のことも題材にしています。

50代の若さで亡くなった森瑤子さんが、作家の仕事とは、自分や家族をさらしものにして、自らを切り刻んでいくこと…というような内容のことをエッセイに書かれていましたが、鷺沢さんの心の中もこんな気持ちだったのでしょうか。そんなに自分を追い込まなくてもいいのにと思うのは、やっぱりただの傍観者だからでしょうか。

鷺沢さんの作品を、これから少しずつ遡って読んでみたいと思っています。

私の話


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2005年10月09日

荻原浩「誘拐ラプソディー」

やっぱり荻原浩さんの作品、好きですね〜
散々、横山秀夫さんの作品にイチャモンをつけておいて、恐縮なんですが…

この「誘拐ラプソディー」も、ユーモアのオブラートにたっぷりくるまれているけれど、泣かせます。特に終盤は切ないです。誘拐犯と誘拐された子どもとの間に友情なんて芽生えるの?と思うけれど、これがありなんです。

もしも、この作品がドラマ化(もしくは映画化)されるとしたら、子どもの伝助役や神木隆之介くんあたりに演じてほしいなあ。だけど、童顔の彼だけど、もうすぐ中学生になっちゃうから急がないと…なんて、余計なことまで考えながら、読んでしまったのでありました。とにかく、おすすめの1冊です。

誘拐ラプソディー


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横山秀夫「動機」

「半落ち」が少し期待はずれだったので、ほかの作品も読んでみたいと思い、『このミステリーがすごい! 2001年版国内編」で第2位に選ばれたという「動機」にチャレンジしてみました。

4つの短編からなる作品集ですが、タイトルにもなっている「動機」は秀逸です。ぐいぐい読ませるし、後味もよくホロリときました。そのほか、「逆転の夏」「ネタ元」「密室の殺人」と、元殺人犯や事件記者、裁判官などを主人公にしたさまざまな趣向を凝らした作品が続きますが、私は「動機」以外は、あまり心に響きませんでした。「ネタ元」の女性記者の描き方、「密室の殺人」の裁判官の妻の描き方にどうも不満が残ります。

簡潔な文章で淡々と語られる作風、基本的に男社会を中心に描かれる世界…たぶん、男性読者からの支持が圧倒的に多い作家なのだろうなあと思います。

本の好みは人それぞれ。だから、こんなにもたくさんの作家と、その作品があっても、それぞれにファンがいるわけだし、さらに新しい作家の作品が求められるのでしょう。次は「クライマーズ・ハイ」あたりを読んでみようかな…


動機


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2005年10月08日

浅田次郎「椿山課長の七日間」

朝日新聞連載の頃から話題だったという浅田次郎さんの「椿山課長の七日間」を読みました。プリズンホテルやポッポ屋など、その名前は知っていたし、映像世界ではおなじみでしたが、浅田作品の本で読んだのは初めて! 

さすがですねー、困りましたねー、通勤電車のラッシュの中だったからいいものの、この本を読んでいて、こらえてもこらえても涙があふれた場面が3カ所。お涙頂戴の話ではなく、ユーモア満載の軽快な話なのに、私の涙のツボに思いっきりはまりました。

46歳で死を迎えてしまった百貨店勤務の椿山課長が、現世に思いを残して7日間(正確には3日間)だけ、姿を変えて再び俗世間に戻る話です。

あまり語りすぎるとネタばれになって、これから読む方の興をそぐことになるので控えますが、とにかく「おじいちゃん」がすごいです。私が泣いたのはすべて、この椿山課長の父(おじいちゃん)の登場場面ですから。

ラストシーンには、若干の「ものいい」がありますが(武田&おじいちゃんをどうしてそんな目にあわせるの?というあまりの理不尽さに。いくら本人たちが納得しているとしてもそれじゃあんまりじゃないかという哀しさに…)

今、書店では、この作品のコーナーができているほどの力の入れようですが、決して「売らんかな」の商売ではないことをsallyが保証します。どうか、お読みください。そして、感動のひとときを味わってください。

あ〜、これでしばらくは「浅田次郎月間」に入りそうです。


椿山課長の七日間


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2005年10月05日

柴田よしき「観覧車」の続編がついに連載開始!

柴田よしきさんの「観覧車」については、6月の日記で感想を書きましたが、切望していた続編が、小説雑誌「non」で、連載開始されるとのこと。

主人公「唯」のその後と、失踪した夫の謎、とてもとても気になります。連載小説がたくさん載っている月刊雑誌はほとんど買ったことがありませんが、これを機会にぜひ読んでみたいと思います。

柴田よしきさんの今日の日記に書いてあったのでうれしくて、思わず話題にしてしまいました。

柴田よしきさんの日記 http://shibatay.livedoor.biz/archives/50131879.html

観覧車―恋愛ミステリー


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2005年10月03日

この秋、読みたいミステリー2冊

新聞の書評欄を読んでいて、とても読みたくなった本が2冊。東野圭吾氏の「容疑者Xの献身」(文藝春秋・1680円)と、貫井徳郎氏の「悪党たちは千里を走る」(光文社・1785円)。

東野氏の作品は、これまでのナンバー1とまで言われているほどの評判の高さで、その筆力が絶賛されています。また、貫井氏の作品は、なんとあの「症候群シリーズ」を書いた彼が、ユーモア満載の作品を書いたのだというのだから、これまた気になります。しかもシリーズ化してほしいとまで。

しかし、どうして本はこんなに高いのでしょうね。かといって、文庫になるまで待ってなどいられません…。これはやはりアマゾンのマーケットプレイスで手に入れるしかなさそうです。読み次第、感想をアップすることにしますので、お楽しみに♪


容疑者Xの献身

悪党たちは千里を走る


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2005年10月01日

山本文緒「プラナリア」

山本文緒さんの直木賞受賞作「プラナリア」が、ようやく文庫化されたので、先日の「半落ち」同様、勢い込んで購入して、一気に読みました。

働かない人(=無職)の心模様が5つの短編の中に見事に描き出されていて、文緒さんの作品を読むといつも感じるように、私の心をひりひりとさせる作品集でした。今、私は働いているし、やたらと忙しがっている…だけど、この作品の中の主人公たちが私とはまったく別世界の住人かというと決してそうではないんですよね。私の中にも彼女(彼)と同じ部分を少なからず持っている。そのことをまざまざと見せつけられるというか、突きつけられると言ったらいいのか。

どの主人公たちの逸話も、それぞれの心の一端を切り取って終わっていて、決して答えが出されていません。その後、どうしたかを読み手に委ねているので余韻が残ります。もし、私がこんな小説を書けたとして、こんなふうに鮮やかにすっぱり終われないだろうな…などと、分不相応なことまで考えてしまいました。文緒さん、さすがです。やはり直木賞受賞作だけあるなと思いました。

プラナリア


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2005年09月27日

荻原浩のデビュー作&続編

「神様からひと言」で注目した、荻原浩のデビュー作「オロロ畑でつかまえて」と、その続編ともいうべき、「なかよし小鳩組」を続けて読みました。

デビュー作の方は、あまりにユーモアの度が過ぎるような気がして「ちょっと軽すぎない?」と思いながら読んでいたのですが、クライマックスに向かうにしたがって、ぐんぐん読ませて最後にホロリとさせ、再びユーモアのオブラートに包んで、終わります。さすが、井上ひさし氏が「近頃まれな快作」と絶賛しただけありました。

そして「なかよし小鳩組」にいたっては、主人公のコピーライター・杉山と、別れた妻の元で暮らしている、ヤンチャな娘・早苗とのやりとりが絶妙で、本を読み終えるのがもったいなかったほど。

たぶん、荻原さんという方はサービス精神が旺盛なのでしょう。だから、普通に話を進めてもかまわないのに、いろいろなところに笑いの仕掛けを作っていて、しかもそれが上滑りしていないで、きちんと落とし込んでいる…ご自身がコピーライターとして活躍してこられたからこその、言葉やセンテンスに対する驚くほどの感度のよさが表れているのだと思います。

最近、書店では「荻原浩」コーナーができていて、スタッフの直筆のコメントなどが添えられていることが多いですね。それによると、今いちばん、ノッている作家の一人だそうです。


オロロ畑でつかまえて

なかよし小鳩組


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2005年09月08日

荻原浩「神様からひと言」

今日は品川で打ち合わせがあり、往復の移動中に読みきったのが、荻原浩氏の「神様からひと言」。初めて読む作家ですが、この本が出版された当時、新聞・雑誌の書評欄を賑わわせていて、いつか読みたいと思っていた作品です。

リストラ要員として、「お客様相談室」に配属され、クレーム処理に追われる主人公の様子がユーモアたっぷりに描かれていて、するする読めました。

軽妙洒脱な文章で笑いの要素があふれているので、ともすると“軽い話”と思われがちかもしれませんが、根底に流れているテーマは結構重いし、クレーム処理の仕事もそう単純にはいかず、単純に「主人公が大活躍する話」ではありません。

おお! なかなかいいじゃないか。荻原さん…そんな印象です。
一度、気に入ると凝り性の私、しばらく著作を追いかけることになりそうです。

神様からひと言


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2005年09月07日

貫井徳郎「殺人症候群」

文庫にして1000円、総頁数:720ページの大作「殺人症候群」、読了です。
「失踪症候群」「誘拐症候群」の前二作は、この「殺人症候群」を書くためにあったのだと言い切れるほどの、力作だったと思います。

逆に言えば、前二作を読んでいない人には、環の率いる特殊チームの人間関係や、それぞれが心の奥に持った闇のことなどが把握できていないため、感動が薄いかもしれません。

それにしてもテーマが重くて、出てくる場面が残虐で、読むのに体力のいる作品でした。犯罪被害者より、加害者の人権が守られてしまう現実。特に加害者が少年であればなおさら…

最愛の息子を、娘を、愛する人を罪の意識さえない少年たちに殺された者たちの気持ちを考えるとき、この作品こそが、貫井徳郎のデビュー作のタイトル、『慟哭』にふさわしいのではと思ってしまいました。終盤、響子を抱きかかえて咆哮する鏑木渉の心を思うとき、涙が止まらなくて困りました。

「心臓移植を待つ息子のために、次々に殺人に手を染める看護婦」の逸話など、若干未消化な部分もありましたが、読者に答えをゆだねる形で終わったラストもよく、読み応えがあったと思います。

折りしも、今日、「山形マット死事件」の元生徒側の上告を退ける判決が出ました。12年間闘い続けた父親は、息子を殺されただけでなく、その後でどれだけのものを失ってきたのだろうと胸が痛みます。


殺人症候群


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2005年09月05日

高橋治「風の盆恋歌」

つい先ほどまで、NHKアーカイブスで放送されていた「越中おわら風の盆」。

富山県八尾市の「風の盆」の中継にバックには、高橋治の名作「風の盆恋歌」の一節が佐藤慶、加賀まりこの出演で声のドラマが流れ、思わず引きこまれる番組でした。この作品は1988年のもので、5年後の1993年にはギャラクシー賞30周年記念賞を受賞したのだとか。

詳しくはこちら http://www.nhk.or.jp/archives/fr_yotei.htm

長男の「この番組はなんだ?」の声で見始めたのですが、「風の盆恋歌」は、私の『心に残る10冊』に入れてもいいほどの大好きな作品。私、ミステリーだけじゃなく、立原正秋とか高橋治とか、(どこか古い感じさえする)日本的な文芸作品が好みなんですよね。

とは言っても、この作品を読んだのはかれこれ15年以上も昔のこと。息子もやたらと興味を持っているようなので、近いうちに再読したいと思います。

風の盆恋歌


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2005年08月31日

岩明均「寄生獣―完全版(8)」

「寄生獣」というコミックを読んだことがありますか?

この作品が発表されてからすでに10年以上も経って入るので、今さら…と思われる人も多いかもしれません。ですが、私が「寄生獣」に出会ったのは、2〜3か月前のこと。長男が、ネットオークションで、ずっと欲しかったフィギュアを手に入れたというので、見せてもらったんです。本人は満面の笑顔だけれど、そのフィギュアはわずか10センチばかりの細長い指のような形で、先端に目玉のおやじみたいに、目がついている摩訶不思議なもの。

思わず「何これ?」と私。「ミギーっていうんだよ。この本を読んだら絶対欲しくなるから。この気持ちがわかるから」と言って差し出したのが「寄生獣―完全版(1)」でした。

パラパラめくると、主人公の片腕がぐーんと伸びて、例の目玉のお化けみたいなのがいたり、やたらと猟奇的な場面ばかりが出てきて、思わず拒否反応を示したのですが、息子いわく「生まれてから一番感動した作品だから。大人だってそう言ってる人が多いんだから、とにかく読んでみてよ」と。

そこまで言われて読まないわけにいかず…。結局一気にのめりこんだのですが、完全版全8巻のうち、我が家には7巻までしかなく(息子は完全版じゃないものを誰かに借りて読んだことがあるらしい)、「早く第8巻買ってきて〜」と頼んでいたのですが、一時市場ではかなり品薄だったようです(Amazonで探しても、8巻は在庫なしでした)。それで、昨日ようやく「ほら」と息子が手に入れてきて、結末を知ることができたってわけです。

人間に寄生しなければ生きていけない知的生命体。食料は人間。そんな寄生獣の中で主人公シンイチの右腕に寄生したミギーは、やがてシンイチにとって親友のような存在になります。

残虐な描写は多いけれど、それもある意味では仕方のないことかもしれません。自然、地球、人間そういうものの真実や大切さ、また、環境破壊の恐ろしさ。この作品の中には大切なキーワードがいくつも隠されていて、さまざまな問いかけをしてきます。

最後にミギーはシンイチの右腕と一体化します。つまり、「寄生」から「共生」へと変わっていったということでしょう。でも、去っていったわけではないから、何かがあればひょいと顔を出すこともある……他の凶暴な寄生獣との決着のつけ方も、ラストシーンも後味のよさも素晴らしかったと思います。

タイトルの不気味さや、表紙の絵のグロテスクな様子に躊躇してしまっていた方がもしもいたとしたら、ぜひ一読をおすすめします。

あ…私もミギーのフィギュア、一つ欲しいです。

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「寄生獣」、ハリウッドで映画化されるんですね。
先月、この話題がニュースで流れたらしく…ちょっとびっくりでした。
あの、残虐なシーン、どうするんでしょ。観たくないかも。

寄生獣―完全版 (8)


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2005年08月29日

柴田よしき「ゆきの山荘の惨劇」―猫探偵正太郎登場―

先週金曜日に打ち合わせの帰りに東京駅内の書店で買ったのが「コンビニ・ララバイ」と、この「ゆきの山荘の惨劇」の2冊。

パソコンを起動できてしまう猫探偵の正太郎の視点で書かれたこの作品は、猫好きな柴田よしきさんならではの世界。作家で元中学教師の浅間寺先生と愛犬サスケ(「桜さがし」や「ゼフィルスの棲む街」に登場)が出てくるのも楽しかったです。

とにかく、柴田よしきさんの本には、いろいろな作品に出てくるキャラクターがシリーズや個々の作品をこえて、縦横無尽に登場して活躍しているのがすごいです。

こんなに続けて読んでいると、未読の作品がなくなってしまいそう…少しがまんしないといけませんね。

ゆきの山荘の惨劇ゆきの山荘の惨劇―猫探偵正太郎登場


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池永陽「コンビニ・ララバイ」

池永陽氏の作品は初めてです。夏は出版社が文庫に力を入れていて、おすすめの本の紹介が書かれた冊子を配布していますよね。その中の、集英社文庫「ナツイチ2005」をめくっていて、心にひっかかったのがこの「コンビニ・ララバイ」でした。

舞台は「ミユキマート」という名のコンビニで、6歳の我が子と妻を相次いで亡くした主人公をめぐる人間模様が、章ごとに語り手を変えて綴られていきます。

「本の雑誌が選ぶ2002年、上半期ベスト1」とのこと。解説で北上次郎さんが「重松清と浅田次郎を足して2で割ったような作品」と評していましたが、私に言わせると内海隆一郎さんの作品を辛口にして生々しくした感じ…でしょうか。

一つ気になるのが女性の描き方がどこか類型的というか、「男性の視点」になってしまっていること。別に生々しくてかまわないのだけれど、微妙にずれているような気がしてなりません。その点が少し残念だったけれど、読後感は決して悪くなく、コンビニという設定もよかったと思います。

多作の作家ではないようですが、この作品のようなものをもっといっぱい書いてくれたらいいなあと。今後、池永作品を追いかけてみたいなあと思わせる出会いの1冊でした。
コンビニ・ララバイ


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2005年08月24日

パウロ・コエーリョ「ベロニカは死ぬことにした」

本を読んでる場合じゃないのに、一気に読んでしまいました。「ベロニカは死ぬことにした」…これは、「アルケミスト」で一躍有名になったパウロ・コエーリョの作品。

まだ24歳の若さで「毎日同じことの繰り返し」に絶望し、睡眠薬自殺を図ったベロニカ。目覚めたところは、ヴィレットという精神病院でした。一命をとりとめたものの、心臓の一部が壊死しているため、余命あと1週間と宣告されます。

精神病院という閉鎖性の強い特殊な環境の中で、「狂ってるってどんなこと?」「死ぬまでの1週間、どうすればいいの?」と苦しみ悩むベロニカ。ゼドカ、マリー、エドアードなど、ヴィレットで出会った人々とのやりとりの中で、いつか「生きたい」と願うようになるのだけれど、1週間はあっという間に過ぎて……

これ以上書いてしまうと種明かしのようになるので、詳細は書けないけれど、この本は、私にいろいろなことを考えさせてくれて、たくさんの答えをくれました。

「全世界45か国、500万人以上が感動した大ベストセラー」という裏表紙の言葉、納得できます。心が弱ってしまったときに、ひざを抱えてうずくまりたくなってしまったときにおすすめです。
ベロニカは死ぬことにした



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2005年08月23日

石田衣良「LAST」

久々の石田衣良作品、仕事の合い間にのめり込んで読みました。

さわやかな青春小説や恋愛小説も手掛ける石田氏の作品の中で、かなりダークというかヘビーといったらいいのか、追い込まれた人ばかりを主人公に据えたビターな1冊です。でも、短編だから、どかーんとは来ないし、最後に救いのある作品もありました。

最後に石田氏が自分の作品の解説をしているのもちょっとおもしろい試みかも。日本ホラー小説大賞短編部門むけの作品をリライトしたもの(ベースの作品は最終選考に残ったけれど受賞はならず)や、朝日新人文学賞で最終選考に残ったものの落選した作品のリライトやらもあって、直木賞を受賞するまでには、いろいろと応募して苦労しているんだなあなんて、思ってしまいました。でも、いずれも最終選考まで残っているのだから、やっぱり実力があったってことなんですよね。あとは、運…なのかも。最近、つくづく思うのは「運も実力のうち」ってことですもの。

話が脱線しましたが、6つのビターな短編の中で、特に心に残ったのは、一時とても話題になったセックスボランティアをテーマにした『ラストジョブ』と、路上生活者(ここでは公園)の不思議な連帯を描いてどこか希望が見える『ラストホーム』の2作品。

それにしても、ちょっとしたことがきっかけで住宅ローンが払えなくなったり、自営業の人が経営難になって街金に手を出して追い詰められたりしてしまうこの世の中。気がついたら自分もこの深い闇に落ちていたなんていうことのないようにと、思わず両腕で我が身を抱いて、震えてしまいました。

大成功なんて望まないから、地道にまっとうに生きていくから、神様見守っていてね…そんなふうに思わずにいられません。

LAST (ラスト)


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2005年08月18日

柴田よしき「聖母の深き淵」

一昨日から胃の調子が悪くて背中も痛み、不調です。
…で、ベッドでうつらうつらして、目が覚めると本を読むというひたすらグータラな2日間を送ってしまいました。

7月末の殺人的な忙しさの後、柴田よしき作品をまとめてAmazonに注文したので、読む本はたくさんあり、それはそれでうれしい休暇みたいな感じですが、このしわ寄せが明日&来週に怒涛のように押し寄せると思うと怖いです…

さて、辛い、痛いとうめきつつ読んだ1冊目は「聖母の深き淵」。横溝正史賞を受賞した「RIKO―女神の永遠」から始まるRIKOシリーズの第2弾。第一作に比べてプロット作りが巧みだし、ストーリー展開にも磨きがかかっているような印象を受けました。それに加えて、ジェンダーへの問題提起など、柴田さんの訴えたいものがより明確になっているようです。

春日組の若頭・山内練と、元刑事・麻生龍太郎の二人の関わりは、まだ深い謎を含んでいて興味深い…それにしても、悪魔のような山内練のことを憎む気持ちになれないのはどうしてなんでしょうね。このあたり、第3作の「月神の浅き夢」を読むと、とてもよくわかるのですが、これだけの長編を書きながら、さらに次の作品への伏線をきちんと用意しているところが柴田よしきさんのすごさだと思わざるをえません。

それに、例の「ハナちゃんシリーズ」にまで、ちゃんと春日組が存在し、山内練も斎藤も登場する…。柴田さんの頭の中には、彼女が構築した新宿2丁目の街と、そこに住む人々がいつもいて、そこをちょっとのぞいては、主人公ごとに視点を変えて、その街で起こった出来事を綴っている…そんなふうに思えてなりません。

だから、読者の私たちの頭の中にも、いつのまにか明確な作品世界が構築されて、続編が出るたびにポンとその世界に入っていけるんですよね。
聖母(マドンナ)の深き淵


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2005年08月12日

柴田よしき「猫と魚、あたしと恋」

8月11日の2冊目は、同じく柴田よしき作品の「猫と魚、あたしと恋」。女性の“怖さ”や“もろさ”そして“切なさ”をあぶりだすような、少し痛い短編が9編。

NHKドラマの「七色のおばんざい」の原作が、「ふたたびの虹」のほかに「猫と魚、あたしと恋」というふうになっていたので、どの話かなと思いながら読んでいたら、『花のゆりかご』でした。テレビでは2週目あたりにやっていたエピソードだったと思います。でも、原作のままではなくて、ふたたびの虹の話とうまくミックスさせて、より感動的な話にまとめられていましたっけ。

本の裏表紙には「普通に壊れてしまうあたしたち」と書かれていたけれど、この作品に描かれていた女性たちは決して壊れてなんていなくて、どこにでもいるごく当たり前の女の子たちだったような気がします。

「この中にあなたはいましたか? もしいなかったら今度はあなたを描かせてくださいね」という柴田よしきさんのあとがきが、最後にダメ押しのように心にズキンと響きました。

うーん、それにしても柴田さんが描く女性像は容赦ないです。少しオブラートに包んで表現してほしいと思うくらいに赤裸々です。でも、だからこそ、自分でも気づかないで…というより、見つめようとしないで目をそむけてきた、自分自身の本当の姿みたいなものを発見させてくれるのでしょうね。

猫と魚、あたしと恋


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柴田よしき「フォー・ディア・ライフ」

今日は、ほとんどオフと言っていい1日でした。本当は明日締め切りの原稿がけっこうあるので、前倒しで進めておけばいいのに、どうにもこうにもやる気が出ず…。まあ、今日は充電の日にしようと思い、久々の読書三昧♪ 

ここのところシャワーばかりだったので、浴槽にぬるめのお湯を20センチくらい張って半身浴をしながら、まず1冊目が、柴田よしきさんの「フォー・ディア・ライフ」です。

これは、新宿2丁目で24時間営業の無認可保育園を営みつつ、資金稼ぎのために探偵もしている通称ハナちゃんこと、花咲慎一郎が主人公のお話。このシリーズにはファンが多いと聞いていたので、とても楽しみにしていたのだけれど、やっぱりよかった! 登場人物たちが魅力的なのもそうだけれど、一見つながりのなさそうな2つの出来事がぴたっと結びつくあたりも、ストーリーに破綻がなくて、納得できます。

それにね、一つ一つのちょっとしたエピソードや、人物設計のようなものが、すべて伏線になっているところも、さすが柴田よしき作品だなあと感心してしまいました。

奈美先生への恋心を捨てきれないまま、温かく包み込んでくれる理紗への愛に傾いていくあたりのハナちゃんの心の機微の描き方も巧みです。

もう、すでに買ってある、ハナちゃんシリーズの第2弾「フォー・ユア・プレジャー」を早く読みたい!

フォー・ディア・ライフ



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2005年08月02日

山本文緒「ファースト・プライオリティー」

ファースト・プライオリティー

ここ2週間ほどは、移動中も資料を読んでいることが多く、あんまり本が読めず…そんな中で、少しずつ読み進めていたのが、山本文緒さんの「ファースト・プライオリティー」。

1話10ページ弱の掌編が31篇。そして、どの話の主人公も31歳という、「31」にこだわって書かれている作品です。誰にでも「これだけは譲れない」というものがあり、それゆえに幸せをつかまえたり、逃したりする。31歳という女性として微妙な年齢もあいまって、結末はほろ苦いものが多いけれど、決して後味の悪い作品ばかりではありません。「あるある、そういうことって」と思わせます。

31篇の中で、私の心に響いたのは、「ジンクス」「空」「カラオケ」かな。ワサビが効きすぎた話より、ふんわりした気持ちになれる話の方がやっぱり好きです。

ラストの「小説」は、31歳で離婚した作家が主人公。もしかして、これって文緒さんの分身?と思ってしまいました。文緒さんは、後に編集者さんと再婚されたけれど、でも「書く」という作業は、身を削ることなんだなあと思わずにいられません。直木賞を受賞後、体調を崩されていたようですが、この春頃からだいぶ復活の兆しが見られたご様子。野生時代の連載をお休みされたりしていたので、とても心配でしたが、早く本調子になって作品を書き始めてほしなあと願っています。

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2005年07月15日

柴田よしき「RIKO」

昨日の移動中に読んだのは、またまた柴田よしきさんで、「RIKO〜女神の永遠〜」。彼女の長編第一作で、第15回横溝正史賞を受賞した作品です。

これまで、柴田作品の中でも、京都を舞台にしたわりと穏やかな筆致のものを読んできたので、おおー!という衝撃がありました。でも、緑子(りこ)のこと、好きです。私はビアンではないけれど、中山可穂さんの全作品を読んでいるくらいだから、緑子と麻里の関係になんら違和感も嫌悪感を抱かなかったし、なんとなくわかるなあという気持ちがあります。

柴田よしきさんは、いつも着地点をしっかり決めてから書き始めると言っていますが、それにしてもそこに行き着くまでの展開が見事だし、よく読むときちんと伏線を張っていて、「そうだったか…」と思わせる巧みさがあります。

この作品では、“男たちに凛として立ち向かう”部分に若干力を入れすぎた部分があるかもしれません。でも「MISS YOU」などにも通じる、こうした本当の意味でのジェンダーの考え方が、柴田作品の大きなテーマになっているんだなあと、あらためて思いました。続編「聖母の深き淵」も読まなくては…

RIKO―女神(ヴィーナス)の永遠


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2005年07月12日

宮部みゆき「レベル7」

宮部みゆきさんの「レベル7」、文庫で656ページ。再読終了です。

うーん! やっぱりこの作品、好きです。すでに15年前に書かれたもので、宮部さんの長編4作目なのですが、次へ次へと読ませる力はものすごいものがあります。

記憶を失った男女2人が今の状況を把握しながら、過去を取り戻して、真実に行き着くストーリーと、行方不明の女子高生を探す人々とのストーリーが同時進行していて、480ページあたりで、読者はほぼ謎を解いた気持ちになるんですね。それなのに、残り、まだ200ページ近くあるのは、どうしてだろうと…。

ここまででも十分書き込んであるのに、この後さらに二転三転していくのですから、読み応え十分。それでいて、見事に着地していて、読後感もどこか爽やかです。

まだ読んだことのない方はだまされたと思ってお読みください。私の中では、宮部作品の中で今も栄光の第1位に輝いているおすすめ本です!

レベル7(セブン)


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2005年07月10日

柴田よしき「桜さがし」

遠方への取材がすきなのは、移動中に本が読めるから。
それで、金曜に一冊読み終わったのが、またまた柴田よしきさんの「桜さがし」。本の裏表紙に「せつない青春群像」とあったので、自分には遠い昔のような気がして、もしかしたら受け付けないのでは…と思っていたけれど、いやはや良かったです。だって横浜に向かう東海道線の中で涙ぐんでしまったほどですから。

ミステリーのおもしろさよりも、京都の四季のうつろいや、人々の心の揺れや温かさをじっくり味わえる連作集です。中でも私は「夏の鬼」が心に残りました。

京都・吉田神社の姫だるまのおみくじと、狸谷不動尊のキーホルダーのような草履、ほしいです。

桜さがし


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本が届きました!

宮部みゆきほ本3カ所に発注した宮部みゆきさんの本が昨日同時に届きました。

ユーズドだし、特にきれいなものを望んだわけではないけれど、本と一緒にメッセージが入っていたり、メールでの対応に温かいものを感じたりするとうれしいですよね。今回、「模倣犯・下」を頼んだ、「春うららかな書房」さん、お店の名前も私好みで、対応も素晴らしかったです。次回以降もお願いしたいなあという感じ。

…というわけで大作「模倣犯」を読み始めるはずだったのですが、10年近く前に読んで私の「宮部作品ナンバーワン」と信じている「レベル7」の良さを確認したく、再読中です。

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2005年07月07日

七夕によせて

今日は七夕。短冊にお願いごとを書いていたのはいつまで?
お天気、大丈夫でよかったと思っていたのに、みるみるうちに雲がかかって、ついに雨が降り出しました。
夜にはやんで、星が少しでも出ればいいのだけれど…

こんな七夕にぴったりの、プラネタリウムみたいな本を見つけました。
「宙(そら)の名前」というタイトルも素敵です。
筋書きを追うことなく、思いのままにイメージをふくらませて、夏の夜空に遊ぶ…そんなひとときも大切ですね。

宙(そら)の名前


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宮部みゆき「模倣犯」を読みたいわけ

7月1日から我が家が購読している新聞の連載小説が新しくなったんですね。宮部みゆきさんの「楽園」という小説です。その主人公が、「模倣犯」に登場して心に傷を負ったライター・滋子なわけで…

もちろん、今回の小説だけでも十分に独立した話として書かれているのだとは思いますが、だってね、職業がライターなんですもん。気にならないわけがなく。

実は私、「理由」を最後に宮部作品をストップしていました。直木賞をとった作品だし、みんな絶賛していたけれど、どうも私の心にはあまり響かなくて。私は、宮部作品の中では、少年を主人公に据えた作品が好きです。「パーフェクト・ブルー」とか「東京下町殺人暮色」とか。そして、イチオシは「レベル7」。

さっき、Amazonのマーケットプレイス(ユーズドの方)で、模倣犯の上下を注文したのですが、同じところに注文しても発送手数料&送料の340円は、一冊ずつにかかってくることがわかったので、上下別々のところに注文しました。それで、ついでに「レベル7」も再読したくなって1円のを注文(以前、図書館で借りて読んだので手元にないんです)。

Amazonの読者評価では、「模倣犯」の評価は思ったよりよくないようですね。中居くん主演で映画にもなったくらいなのに。週末には届きそうなので、一気に読みたいと思います。感想はその後で。

模倣犯〈上〉


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2005年07月05日

柴田よしき「PINK」

読み出したら止まらなくて、まいりました!
柴田よしきさん、やっぱりすごいです。震災後の神戸を舞台にしたミステリーというか、サスペンスと言ったらいいのか。
今日の午後6時までにアップしなくちゃけない原稿があったのに、手につかず…
いけない、いけないと思いながら結局最後まで読み終わったのが、午後3時。
その後、ベソ書きながら仕事しました。あせりすぎて指先が冷たくなってしまった(反省)。

「PINK」という言葉、確かにキーワードなのだけれど、最初にこの本を手に取らせるきっかけとなる書物の題名としては、少し損している気がします。
全然、軽い話じゃなく奥が深くて、いろいろな謎が重層的になっているのに、タイトルからはそんな印象を受けないでしょう?
でも、これでいいのかな。「じゃ、あなたなら何ていうタイトルをつける?」と聞かれても即答できないし…。
(…本の編集にも携わってる身として、これはいけませんね。イチャモンをつけたら、代案を用意しなくちゃね)

夫の実家が神戸にあります。半壊でした。
私は子どももまだ小さくて駆けつけられなかったけれど、夫は震災2日目に私が作った山ほどのサンドイッチやウェットティッシュやガスボンベなどを持って駆けつけました。
震災半年後の夏に、私が行ったとき、街はまだ崩れたところがいっぱいで、公園には仮設住宅がマッチ箱みたいに並んでいました。

そうしたいろいろなことを思い出しながら、主人公と一緒に真相を追い続けて読みました。これだけ、さまざまな要素を盛り込みながら、少しの破綻もなく、見事に描ききれるなんて。読後のさわやかさも秀逸です。

PINK


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2005年07月04日

怖い怖いお話。

阿刀田 高、宮部みゆき、高橋克彦、乃南アサ、鈴木光司、夢枕獏、小池真理子…7人の豪華メンバーによる短編ホラー「七つの怖い扉」。ほとんど好きな作家ばかりだったので、かなり期待して読んだのですが、期待の方向が間違っていたようで、「なんだかなあ」というのが正直な感想です。最後の1行に怖さがあって、みなどれも巧みなんですが、うーん。
ただ、女優の白石加代子さんによる語り下ろし公演「百物語」のための新作「七つの怖い扉」のために、書き下ろされたものだと知って、「そうか、そういう怖さの方向だったのね。しかも公演向けのね」と、納得した次第。
七つの怖い扉

で、「これこそ『怖い』ってことなんじゃない?」というおすすめの本が、前述の「七つの怖い扉」にも書いている乃南アサさんの「夜離れ(よがれ)」。人間て、女って怖いんだぞ〜ということが、見事に書かれています。心理描写の巧みさで評価の高い乃南さんならではの1冊です。
夜離れ


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2005年06月30日

吉田修一「パレード」

久しぶりに日付が変わらないうちにベッドに入ったものの、5日続けて午前4時就寝だったために、リズムが狂ってなかなか眠れず…

それで手に取ったのが吉田修一「パレード」。第15回山本周五郎賞受賞作ですね。で、読み始めたのがいけませんでした。結局、一気に読んでしまって、またもや寝不足。解説の川上弘美さんが「こわい小説」と言っていたことに納得。読んでいる途中はちっともこわくないのだけれど、ラストの怖さはどう表現したらいいんでしょう?

5人の男女の不思議な共同生活の様子を、5人のそれぞれの視点から語っていく構成がまた絶妙なんですね。こわいし、深く考えさせられるけれど、ストーリーの中には心温まるというか、ほっとさせられるような愛すべきエピソードや人物も出てくる…。私は第1章の杉本良介のことを「こいついいじゃないか」と思って読んでいたら、解説で川上弘美さんも同じことを書いていたので、うれしくなりました。

吉田修一さんの本は、このほかには「パーク・ライフ」(芥川賞受賞作)しか読んでいないけれど、機会あるごとに少しずつ読んでいきたいと思います。

パレード


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2005年06月29日

角田光代「真昼の花」

昨日は移動中に角田光代さんの「真昼の花」を読了。
角田さんらしい、ひりひりした感じが伝わってくる小説でした。アジアの熱気や混沌とした空気のようなものに包まれて、読んでいる私自身までひりひりとしてしまう。
うまいなあと思いつつ、読後はしばし呆然として、ちょっと辛くなります。

ついこの間、彼女の「恋するように旅をして」を読んだばかりなので、あのときの旅が、こうして小説になるんだなあ…なんて、そんなことも考えてみたり。
⇒「恋するように旅をして」の」詳細はこちら


実は、角田光代さんには、インタビューの仕事でお会いしているんですね。
時間がたっぷりあったので、記事に掲載する話題が終わったあとも、少し雑談したりして、本当に楽しいひとときでした。作品のイメージとは違って、少女のように可愛らしくて、物腰の柔らかな女性でびっくり。だって、とても異国を、それもアジアを一人で旅するようには見えないんだもの。
…なのでそれ以降、どうしても実物の角田さんのことを思い浮かべながら、作品を読むようになってしまっています。

真昼の花


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2005年06月27日

柴田よしき「貴船菊の白」

原稿の合い間に(お風呂にも持ち込んで)柴田よしきさんの「貴船菊の白」読了です。
京都を舞台にした短編ミステリーというのが裏表紙の文句ですが、ミステリーというよりも人情話というか、人間の心の綾を書き込んだ作品という印象を受けました。でも、最後の最後に「えっ!」と思わせる大どんでん返し(大袈裟かな?)が用意されている点では、やはりミステリーなのでしょうし、どこか連城三紀彦の世界を思わせるものがあります。

中でも心に残ったのは7つの短編の最後にあった「幸せの方角」。編集者と作家の節分祭の夜の話なのですが、読後感がとてもよくて秀逸。日本酒と肴の話など、柴田よしきさんならではのおいしい食べ物の話やうんちくも楽しめます。

また、朝…。ほんの少しだけ眠ることにします。

貴船菊の白


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2005年06月25日

NHKドラマ「七色のおばんざい」

今週月曜から始まったNHKドラマ「七色のおばんざい」は、柴田よしきさんの「ふたたびの虹」が原作になっていると聞いて、見たいような見たくないような気持ちだったのですが、結局昨日の深夜に1週間分再放送していたものを見てしまいました。

京都のおばんざいを出してくれる小料理屋「ばんざい屋」の女将役を相田翔子さんがされるのは、原作を読んだ私のイメージよりも若すぎるのでは?と思っていたけれど、ふんわりした感じが予想以上にぴったりで、さすがのキャスティング。
小道具屋「かほり」の清水役の筧利夫さんもいいです、とても。
原作のエピソードを再構築して、あんなふうに上手にまとめてしまうなんて、脚本家の方の力もすごいな、さすがだなと思いました。

自分がとても気に入っていた小説(子どもの頃は童話も)が映像化されることに抵抗があって、これまでそういうものは極力見ないようにしてきたけれど、まったく別のものとして楽しむのもいいかもしれませんね。

とはいえ、やはりこの「ふたたびの虹」、原作がすばらしいので、ドラマを見た人がこちらの本の方も読んで、二重に楽しんでもらいたいなあと思います。

七色のおばんざいホームページ http://www.nhk.or.jp/23renzoku/index.html 

ふたたびの虹


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2005年06月24日

柴田よしき「観覧車」

どんなに忙しかろうと本は読みます。
ただ今、柴田よしきにどっぷりです。

この「観覧車」はおととしの2月に刊行されたとき、新聞や雑誌の書評欄で絶賛されていて、ぜひ読みたいと思っていた本。文庫になるのと首を長くして待っていたら、ようやく祥伝社文庫から出ました!

連作短編集だけれど、作品の中での時間の経過と同じ時間を経て書かれたのだとか。ミステリーとしても優れているけれど、何より主人公「唯」の一途な想いに胸を打たれます。だけどね、失踪した唯の夫の謎については解決されていないから、もどかしい! 
あとがきに「この謎については続編ではなく、また別の作品として語るつもりでいます…とあったけれど、それはいつのこと?
柴田よしきさん、早く続きを書いてください。

観覧車―恋愛ミステリー


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