本のこと
2008年05月09日
池永陽「そして君の声が響く」
池永陽の作品というとこれまで「走るジイサン」「コンビニ・ララバイ」「水の恋」の3作品を読んできたけれど、いつも青春とか夢とかそんな言葉に代表されるような瑞々しい感性のあふれた小説を書く人だなというのが、この作者に対する印象でした。
今回読んだ「そして君の声が響く」もまさに池永陽さんらしい作品。しかも主人公が就活を控えた大学生で、ボランティア先のフリースクールの生徒たちとの交流や恋が描かれるのですから、まさに“青春”という言葉に直球勝負です。
フリースクールに通う生徒たちなので、心に何かを抱えていることは確かなのだけれど、陰鬱な感じじゃないのが読んでいて重過ぎない…その微妙なさじ加減が私は好きです(不登校については、息子が中学時代にそうしたことを通過しているので、決して上っ面のきれいごとでは語れないことは体験済み)。
主人公が恋をした相手、美咲の負った傷はあまりに衝撃的でびっくりしたけれど、全篇を通じて、素直に共感しながら応援しつつ読めるストーリー。
それにしても、1950年生まれの作者がこんな若者たちの心に寄り添った作品が書けること、素敵だなと思います。
2008年05月06日
北森鴻「狐罠」
店舗を持たないで骨董を商う“旗師”宇佐美陶子シリーズの第1弾。文庫で500ページの大作ながら、次々に起こる事件や登場人物の行く末から目が離せず、時を忘れて読んでしまいました。
骨董とか古美術などと呼ばれる世界にはからきし疎い私でも、そうした世界の内情を垣間見つつ、勉強させてもらいながら、ミステリーそのものを純粋に楽しむことができて、1粒で2度おいしいというような作品です。
陶子という人物が、凛として美しく(でも、どこか儚げなところもあって、そこがまた魅力なのですが)、彼女のよき相棒ともいえるカメラマンの硝子もまた魅力的。さらに、小説の最後での「え!」というどんでん返しのような趣向もあって、さすが香菜里屋シリーズの北森鴻の作品です。
でね、この作品の中にも、香菜里屋とマスターの工藤がほんの一場面出てくるあたりも、北森ファンとしてはたまりません。
ただいま、この陶子シリーズの第2弾、『狐闇』を読んでいるところです。明日からかなり仕事が忙しくなりそうなので、読むスピードが落ちそうですが、読み終わったらまたレビューをアップしたいと思います。
柴田よしき「窓際の死神」
「今年は読書三昧のGWにしよう」と心に決めて、連休前に大量にアマゾンで本を購入し、読んでいる途中に気になる本が出てくるとさらに追加で発注するという按配。最終日の今日までに1日1.5冊〜2冊のペースで読み続け、至福のときが過ごせました。
ブログへのレビューが間に合わず、その中からの抜粋になっていますが、大好きな柴田よしきさんの本の中からは「窓際の死神(アンクー)」を。
冒頭にもあるように「死神の姿を見ると、自分か、その愛する人が死ぬという―」というフランス・ブルターニュ地方に伝わる死神をモチーフにした、連作中篇です。
近藤史恵さんの整体師シリーズ(といっていいのかな?)の3冊と同様、主人公は心に闇を抱えた女性。“島田”という人間に姿を変えた死神と出会ってしまったことによって、自分を見つめ直して強く生きていく様子が読んでいてとても共感できました。
誰でも心の中に持っているどろどろとした感情を、あまりに的確に突きつけられてしまうと、読んでいて辛く、読み進むのにパワーがいるけれど、そのあたりはさすが柴田よしきさん。鋭いところを突いているけれど、ちゃんと元気がでてくるようなストーリーになっています。
近藤史恵さんの3作品と、この柴田よしきさんの作品は、そういう意味でどこか共通点があるような…。女性はもちろんのこと、男性にも4冊まとめておすすめしたい2008年GWの思い出に残る作品群でした。
近藤史恵「シェルター」
「カナリヤは眠れない」「茨姫はたたかう」に続く、シリーズ3作目の「シェルター」も読了です。表紙に谷口幸一氏によるシリーズのメンバーが描かれているのですが、これまで自分で頭に描いてきた人物像とそんなにかけ離れていなくて、より一層、愛着が持てるような気がしました。
今回は前2作以上に、整体師の合田先生の助手をしている恵と歩という姉妹に隠された問題がクローズアップされて、そこにやはり心に問題を抱えた17歳の少女が関わって物語が展開していきます。
タイトルのシェルターとは一時の逃避場所。でも人間に必要なのはシェルターではなくて、待っていてくれる『人』や『家』なのだと気づかせてくれる作品。終章の手前で合田先生が語る、次の言葉が胸に響きます。
『他人を傷つけずにいられない人間はな、そんなことをせえへんでも生きられる人間よりも、ずっと不幸なんや。〜中略〜そいつらは、他人を傷つけているようで、自分を鬼みたいなもんに食わせているんや。ある日、自分のやってことを振り返ったとき、自分の中を鬼が食い荒らしていることに気づいて茫然とするか、もしくはすべてを鬼に食われてなにもなくなってしまうか、そのどちらしかあらへんねん』
それが学校での陰湿ないじめであれ、社会での○○ハラスメントと呼ばれるものであれ。
合田先生はこんなことも言っています。
『ぶっちゃけていえば、自分と何人かの友達だけ、自分のことを好きやったら、人生なんてうまいこと行くもんやで。おれはそう思っている』
読むほどに癒されるこのシリーズ。「シェルター」が刊行されたのは平成15年秋なので、そろそろ近藤史恵さんが4作目を書いてくださることを切に祈っています。
奥野宣之「情報は1冊のノートにまとめなさい」
日ごろ、手帳のほかにRollbahnのリングノートを愛用している私、「情報は1冊のノートにまとめなさい」というタイトルが心に響き、迷わず購入。いったいどこがベストセラーになっている理由なのだろうと一気読みしました。
うーん、すべてをまねするのは私には無理だし、ましてやノートに書いた情報すべてにタグをつけていって、パソコンで管理し、検索可能にするなどという方法は続きそうもなく…第一、タグをつけて検索しなければ見つからないほどの情報を、ノートに書き込むなんていうことがあるのだろうかが疑問です。
私のRollbahnの使い方も、奥野氏と同様、取材であれ、打ち合わせであれ、原稿のプロットであれ、思いついたいろいろなことであれ、カテゴリー分けをすることもなく、すべて時系列で次々に書いています。…が、所詮、私が同時にやっている仕事などはすべて把握できる程度の小さなものなので、「どこに書いたか見つけるのが大変!」ということはほとんどありません。
なので、同じテーマで行った取材のページに付箋をつけて、その付箋をたよりにキーワードなどを確認して原稿を書くという流れで大丈夫かなと。そういう意味では、「これは○○用」とか「これは会社用」などにせず、すべてをRollbahnで一元化している点では奥野方式に近いのかもしれません。あ、でも奥野氏はスケジュール管理も私でいう「Rollbahn」で行うことをすすめているので、その点はちょっと違うかも(私はアクションプランナーとRollbahnの2冊を常に持ち歩く方式なので)。
で、奥野氏の提唱するやり方でさっそく実行してみたのは、新聞の切り抜きなどを別のスクラップブックなどに貼らないで、いつも使っているノートに貼るということ。たまるばかりで整理できない切抜きが膨大にあるのだけれど、仕事関連についてはRollbahnに貼ると決めたら、無駄に切り抜くことがなくなったようです。
というのも、Rollbahnがあんまり分厚くなるのが嫌だからという単純な理由なのだけれど、貼ってとっておくほど大切な内容かどうかをその場で取捨選択するようになったのは、たぶんとてもいいことなのではないかなと。
あと、とにかく頭に浮かんだことや、起こった出来事などを一つのノートにどんどん書いておくというのは、私が愛読している『能率手帳の流儀』で野口氏が繰り返していっているのと同じことなんですよね。
「とにかく、手で書く。書いたらそのままにしないで、繰り返し読み返す…そこから何かが生まれる」これに尽きるのだと思いました。
★この本を読んで買ったもの…貼って剥がせるのり、強粘着の付箋、メンディングテープ。
2008年05月05日
歌野晶午「長い家の殺人」
あの「葉桜の季節に君を想うということ」の歌野晶午のデビュー作が、新装版として講談社文庫から出たことを知って、期待度100%で読みました。「葉桜〜」ほどの衝撃はないけれど、これがデビュー作ならその後の活躍はうなずけます。
この「長い家の殺人」には、冒頭に、作者からの「新装版刊行にあたって」というメッセージがあり、あとがきには歌野晶午を見出した島田荘司氏からの推薦の言葉があり…それを読むだけでも、作家がこの世にデビューし、小説がこの世に生まれることの奇跡のようなものを知ることができて興味深いなと思いました。
----<以下、若干のネタバレがあるかもしれないので注意!>----
プロローグを読んで、わかったつもりになっていて騙され、トリックがなかなか見破れなくて歯軋りし…(でもね、種明かしの場面の前に、私は「そうか!」とわかってしまったけれど。だいぶ後半になってから)
で、思うのは、「葉桜〜」にしても「長い家の殺人」にしても、この作者はタイトルにある意味で答えをつきつけているのだなと。
まだ、読んでいない作品がたくさんあるので、歌野晶午のミステリーを楽しみに読み続けようと思っています。
2008年05月04日
近藤史恵「カナリヤは眠れない」「茨姫はたたかう」
茨姫はたたかう (祥伝社文庫)
デビュー作の「凍える島」に続いて、近藤史恵の「カナリヤは眠れない」と「茨姫はたたかう」を読みました。この2冊は、どこか風変わりな整体師と、心の奥に闇を持つ姉妹(整体師の助手)、週刊誌の記者小松崎が活躍するミステリー。
事件そのものの謎を追うというより、登場人物たちの掛け合いが絶妙で、読み終わって心が癒されて元気が出てくる小説です。
整体師の合田先生によって体のゆがみを治してもらった後、小松崎くんがつぶやく「たしかにあの首の痛みは、身体の悲鳴だったのだと思う」という言葉や、合田先生の「人間は生まれつき、まっすぐに生きるようになっています。歪められた心と身体が悲鳴を上げている、それが原因です」という言葉など、私自身が整体の先生には常々お世話になっているせいか、とても説得力があって、登場人物たちに自分を置き換えながら反省しつつ、元気をもらいながら読み進みました。
近藤史恵という作家が大阪生まれの大阪在住(しかも大阪芸術大学文芸学科卒業)という生粋の大阪人なので、舞台も関西、口調も関西弁のため、小説に独特のテンポがあります。先に読んだデビュー作よりはこちらのほうが私は断然好き。出合えてよかったなと思える作品でした。
このシリーズの3冊目はないのかと探したら、同じ祥伝社から単行本(前2作はどちらも文庫書き下ろし)で「シェルター」というのが出ていることがわかり、すぐに購入。昨日、届いたので読むのが楽しみです。
2008年04月30日
我孫子武丸「殺戮にいたる病」
16年も前に書かれ、叙述ミステリーの最高峰として名高い、我孫子武丸の「殺戮にいたる病」…前々から読んでみようと思いつつ、敬遠していたのですが、ついに読了。読み始めたらノンストップでした。しかも見事に騙されたというか、読み終わって、最初からページを追ったのは、あの「葉桜の季節に君を想うということ」以来でしょうか。
猟奇的殺人が題材で、しかもかなりリアルな表現の連続なので、女性に限らず、この本を受け付けない人もいるかもしれませんし、決して読み終わって元気の出る小説ではありませんが、ミステリー好きの人なら、「そうきたか!」と愕然とすること請け合いです。
笠井潔氏による解説を読んでみて、さらに納得感が増すという点でも、これまでに読んだ小説の中で3本指に入るかも。1980年代〜幼女連続殺人の宮崎事件や、金属バット事件など〜の時代背景の中で、どこかゆがんだ家族の問題をあぶりだしていて考えさせられます。
でも、16年前では、「猟奇的殺人」だったかもしれないけれど、もしも今、本当にこんな事件が起きたとしても、「そういうこともあるかもしれない」と受け入れてしまうほどに、今の社会はますます病んでいるようにも思います。
ちなみにこの我孫子武丸という人は、一時期、息子や夫が夢中になってやっていた「かまいたちの夜」というゲームの原作者なのですね。私はテトリスくらいしかゲームができないけれど、「かまいたちの夜」だけは、やっているところを端で見ていて怖くて怖くて仕方なかったことを思い出します。
…この「殺戮にいたる病」の文庫の裏表紙に「衝撃のホラー」と書いてあるだけあって、我孫子氏はこうした世界を描くのが巧いのですね。この本はホラーであり、本格的な推理小説でもあると思います。
2008年04月22日
近藤史恵「凍える島」
文庫本の帯の文言にひかれて手にした近藤史恵の「凍える島」。心の機微とか、感性とか、そんな言葉に弱い私です。
何といっても、私自身が理論的なものの考え方よりは、心に響いたかどうか快く感じられたかどうかということで物事を判断してしまうタイプなので仕方ありません。だからものすごい感激屋で、そのかわりお世辞が言えなくて感情が顔にすぐに出てしまう。いいと思ったものとそうでないものとの落差が激しいです。あまりに直感的に動くので、右脳タイプの典型ともよく言われるけれど、単に大人になりきれていないだけのような気もします。
本の話から脱線してしまいました。この「凍える島」は近藤史恵さんのデビュー作だそうで、ずいぶん前の作品ですが、孤島における密室&連続殺人というミステリーなので、時代背景のようなものがあまり関係なく、違和感なく読めます。
もし、気になる人がいるとしたら、まるで太宰治の作品のように「スゥプ」「ボォト」と、音引きを小文字のカタカナで書いていることでしょうか。登場人物が詩人だったりするところからみても、作者自身が日本語に独特のこだわりというか美学をもっている人なのではないかと思います。
で、帯の文言。かなり後半になるまで「心の機微」だとか「感性」ということは意識しないで、登場人物と一緒になって連続殺人を怖がりながら読んでいたのですが、そういうことだったのか...ということがわかる段になって、近藤史恵が感性の作家とよばれるゆえんに納得させられます。
もう少しほかの作品も読んでみたいと思って、アマゾンで何冊か注文したので、読んだらまた紹介します。
2008年04月16日
北森 鴻「香菜里屋」シリーズ4冊
ずっと紹介したいと思っていて、なかなかここに書けないままでいたのが北森鴻の短編連作集「香菜里屋」シリーズ。「花の下にて春死なむ」「桜宵」「蛍坂」「香菜里屋を知っていますか」の全4冊です。3冊までは文庫を買って、シリーズの最後になる4冊目は文庫化が待てずに単行本を買いました。
このシリーズは「香菜里屋(かなりや)」というビアバーを舞台に、マスターの工藤が事件を解決していくミステリーなのですが、はっきり言ってミステリーを楽しみいたいから読むのではなく、そこに登場するお料理が魅力なので読んでしまうという本。
もちろんミステリーそのものも読む価値はあるけれど、たまに凝りすぎてしまっていて、すんなり読み込めないときもあるのが少々難点。ただし、それを抜きにしても、とにかく出てくる料理、マスターの雰囲気や会話、アルコール度数の違う4種類のビールのことなど、お腹が空いているときに読むのはご法度というくらい魅力的です。
この「香菜里屋」は、どこか柴田よしきの「ふたたびの虹」に出てくる「ばんざい屋」にも似ていて、一方がビアバーで、男性のマスター、「ばんざい屋」は日本料理系のお惣菜とお酒を出す、小料理屋というところは違うけれど、ミステリー仕立てのところも同じだし、桜をテーマにした話は、題材そのものも似た話が出てきます。
香菜里屋とか、ばんさい屋みたいなお店を開くことができたら本当に素敵。知る人ぞ知る小さな小さなお店で、ひっそり営業しているけれど、お客様とは仲良しで、「お料理は私に任せてね」という感じでやっていけたらいいでしょうねぇ。夢のまた夢のお話だけれど。
2008年03月08日
「B型自分の説明書」
B型自分の説明書
何やら人気の本らしく、「重版予約」というのをしておいてたところ、ついこの間ようやく届いた「B型自分の説明書」。
何を隠そう、私もB型です。血液型診断なんて日本人しか信じていない、何の根拠もないものだと言う人もいるけれど、私はけっこう信じているほう。
それでね、読んでみたら、もうあてはまるところがあまりにも多くて(特に前半の「基本操作」のところ)びっくり。
例えば、こんなところ…
□「変」だと言われるとなんだかウレしい。
□気になると即行動。
□その時の行動力はすさまじい。
□だけど、興味ないとどーでもいい。
□突然、何かしでかす。
□自分論がめじろおし。
〜中略〜
□自分がわからなくて迷子になる。
□それでぐるぐるする。
□でもめんどくさくなって「やーめた」ってなる。
□そしてまた迷子になる。という繰り返し。
↑全部、あてはまると思います、私。
あ、この本は、□にチェックを入れて「これが私の説明書です」というのを作り上げるという体裁になっています。夫は「O型自分の説明書」も買っておいてと言うけれど、「O型用」の説明書はないと思うのだけれど。世間ではB型への風当たりが強いのでこんな本ができたみたいです。
最後にこんなことが書いてありました。
自分をうまく説明できないB型の、
B型のことをちゃんと知りたい誰かの、
少しでもお手伝いができたなら。
私のまわりのB型さん、誰かいますか?
2008年03月02日
私のバイブル「100文字レシピ」
今年の初めに買って以来、バイブルのように大事にしている料理本が、川津幸子さんの「100文字レシピ」。これ、文庫本なのに写真がとてもきれいで、どの料理も作ってみようと思わせるものばかり。コンパクトだから、ベッドに持ち込んで明日のメニューを考えながらパラパラとめくることも度々です。
でも、通常は、上の写真のようにキッチンの壁にクリップではさんで吊るしてあります。で、この中から何か作ろうと思うときにはページを開いて、クリップを見開きの真ん中のところで留めて、確認しながら作業をするというわけ。
たった100文字で表されたレシピは、簡単なのにどれもおいしくて、しかもアレンジすることで“わが家流”にできるところも◎。
実は、これは「ヴィレッジヴァンカード」で買ったもの。あそこって、店員さんのコメントが手書きでいろいろ書いてあってとても楽しくて、ちょうど料理本ばかりを集めたコーナーに横並びに5冊も目立つように並べてあったので、思わず手にとってしまいました。普通の書店だったら、この本に出会えなかったかも。提案型&遊園地みたいな書店、好きです。
2008年03月01日
理論と感性と、そしてこれから。
激闘の2月最終週が終わりました! 徹夜徹夜の後に制作に出して、その後のデザイン確認&修正作業&再確認も先ほど終わり、ほっと一息。
別件の取材を終えて20時に帰宅⇒服も着替えずに確認作業⇒22時に終了⇒ごはんの支度(金曜日なのでパスタを。でも今日は3種類+サラダで終了)⇒23時15分:修正の連絡⇒再度確認⇒23時45分〜0時15分:電話で最終確認&今後の企画の詰め
あー、今週も終わったなあという感じ。編集者のY氏とも最初のやりとりから4か月を過ぎ(出会いからは半年)、納得のいくまで話をし続けていくうちに、ずいぶん気心が知れてきて、仕事がしやすくなりました。深夜に胃痛で目が覚めて、その後何時間も眠れないという毎日、歩いていても電車に乗っていてもこれでいいのかなあと思い悩む毎日が続いていたりしたけれど、決してあきらめずに自分の思いを伝えること、考え続けてきたことは、無駄ではなかったのだなあと思います。
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別件の取材を終えて20時に帰宅⇒服も着替えずに確認作業⇒22時に終了⇒ごはんの支度(金曜日なのでパスタを。でも今日は3種類+サラダで終了)⇒23時15分:修正の連絡⇒再度確認⇒23時45分〜0時15分:電話で最終確認&今後の企画の詰め
あー、今週も終わったなあという感じ。編集者のY氏とも最初のやりとりから4か月を過ぎ(出会いからは半年)、納得のいくまで話をし続けていくうちに、ずいぶん気心が知れてきて、仕事がしやすくなりました。深夜に胃痛で目が覚めて、その後何時間も眠れないという毎日、歩いていても電車に乗っていてもこれでいいのかなあと思い悩む毎日が続いていたりしたけれど、決してあきらめずに自分の思いを伝えること、考え続けてきたことは、無駄ではなかったのだなあと思います。
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2007年11月08日
奥田英朗「サウスバウンド」
サウスバウンド 上 (角川文庫 お 56-1)
サウスバウンド 下 (角川文庫 お 56-2)「サウスバウンド」―豊川悦司主演の映画で、この本のタイトルを知っている人のほうが多いかもしれないけれど、「とにかく、本を買って読んでみて!」と声を大にして言いたい直木賞作家・奥田英朗の傑作です。
文庫だと上下2巻のこの作品。第一部にあたる、上巻では元過激派のお父さんを持つ、小6の二郎、小4の妹、そして喫茶店を営むお母さん…の東京での暮らしが丁寧に書かれています。二郎の学校での問題や、過激派がらみの事件、これまでずっといないと思っていた母方のおじいちゃん・おばあちゃんのこと。訳ありの恋愛をしているらしいお姉さんのこと…
一つ一つのエピソードにぐいぐい引き込まれているうちに、かなりの厚さの上巻が終わり、沖縄の離島での生活を綴る下巻へ。いやはや泣かせどころあり、吹き出してしまうところあり、しみじみと考えさせられるところありで、本当に読み応えがある本でした。
実は、この本があまりにおもしろかったし、お父さん役がトヨエツっていうのもはずしていない感じがしたので、封切後すぐに映画も観てきているのですが、映画は東京の部分をかなり割愛していて、一気に沖縄へ。しかも、電気や水道さえない暮らしぶりのところもあんまり描き込まれていないので、原作を読まずに映画を観た人には、何のことやら話の筋がわからなかったのではと思います。
話のクライマックスは沖縄にあるのだけれど、そこでの話がおもしろいのは、東京での暮らしぶりを沖縄部分の2倍くらい割いて書き込んでいるからなんですけどね。たった2時間でこれだけの長編を映画にするのはやっぱり無理があるのでしょうね。
なので、映画を観て、もしかしてがっかりした人も原作をぜひ読んでほしいです。
*ちなみに、映画で二郎を演じた田辺修斗くん、なかなかいい子です。これから活躍するのではないかと期待度大。それと、おまわりさん役の松山ケンイチ…原作のイメージとあまりにぴったりなので感激しました。芸達者な役者さんですね。
2007年10月29日
「能率手帳の流儀」と「佐藤可士和の超整理術」
ちょっと読んでみて!と紹介したい小説がたくさんあるのですが、まずはこの2冊から。
「佐藤可士和の超整理術」は、言わずと知れたベストセラー。装丁も自分で手がけたというこの真っ白な本が書店に積まれていると、かなり目立ちます。で、私も思わず手にとってしまい、「仕事を取り巻く環境がみるみる快適になっていくのが実感できるはず」という帯の言葉に惹かれて買ってしまいました。
佐藤氏もLAMYを愛用していることにへぇーと思い、まずはカバンの中身を整理しなさいというあたりに「はい、そうします」と反省し、仕事をする場合クライアントの思いを整理することが大切という言葉に、ふむふむと思ったのですが、「超整理術」というタイトルほどのインパクトには欠けたように思いました。いや、単に私の受け皿が足りなくて、奥深いところまで読みきれていないのかもしれませんが。
「能率手帳の流儀」は、日本能率協会マネジメントセンター代表取締役会長の野口晴巳氏の著作。この本には、巻末に能率手帳のページ構成が載っているだけで、「活用術」の本にありがちな図版はいっさい出てきません。けれども、とてもわかりやすくて、共感できる点がいっぱいあって、「読んでよかった!」と素直に思える1冊でした。
私が使っているのは、佐々木かをりさんが自ら使い、自社のサイトで販売をしているアクションプランナーですが、佐々木さんが提唱する手帳術よりも、野口氏の言っているやり方のほうが、私に合っているように思います。
佐々木さんは、手帳を使うときの姿勢が未来に向かっています。あの案件とこの案件を成功させるには、先々の時間をどのようにマネジメントしていくかが大切なのだと。そして、それに向かってまい進していくことだと。だから、佐々木さんは「時間活用管理術」のような言葉を多用しています。
一方、野口氏は、手帳というのは過去を振り返って反省したり、考えたりすることが一番大切なのだと。だから、毎朝、昨日の出来事を振り返って、ちょっとしたことでもいいから手帳に書いておきなさいと提唱しています。手帳にはスケジュールを書いておくだけではないのですよと。
「書く」ことは、考えること。「振り返る」ことは、未来に向かうこと。
この考え方、いいなあと思いました。私は、佐々木さんのようにバリバリに仕事をしていくタイプではないので、先へ先へと少しの時間も無駄にしないでタイムマネジメントをしていくというやり方だと、心身ともに疲弊してしまうのだと思います。
だから、一歩進んでは振り返り、反省し、また少し進むことを許してくれるような「能率手帳の流儀」の穏やかな語り口調にはとても安心感がありました。
でも、決して野口氏がのんびりと毎日をおくっていたわけではなく、挫折感を味わうことがあったりしながらも、常に前進されていた方なんですよね。だって、代表取締役会長まで務められている方なのですから。
いずれにしても手帳にはいろいろな使い方があって、どれが正解ということもないのでしょう。みんな自分に合った使い方を探しているので、手帳術のような本が人気なのでしょうね。
私はアクションプランナーを来年も使う予定だけれど、その使い方は“能率手帳の流儀”でいきたいなと思います。
----
P.S.
ちなみに、この「能率手帳の流儀」のことは、LiberaJoyさんのブログで知りました。こちらにもとてもいいことが書いてあるので、ぜひ読んでみてください。
>>>Pusupin Diary 「手帳シーズン開幕」
2007年05月19日
歌野晶午「葉桜の季節に君を想うということ」
葉桜の季節に君を想うということ「2004年版このミス第1位」のほか、各賞を受賞した話題のミステリー、歌野晶午の「葉桜の季節に君を想うということ」がようやく文庫化! 待ちに待った作品だったので、発売を知り、本屋さんに飛び込んで買いました。
ネタバレになってしまうといけないので、詳細は書けませんが、ほほー、ふふーん、へぇー、なるほどー。最後まで読み終わる前に400ページを過ぎたあたりで、最初から読み直し、最後まで読んだのにまた読み直し、一つ一つに納得した次第です。
賞をとったのに、この作品は賛否というか好き嫌いの評価が分かれるようですが、私はとても好きです。驚かされたし、おもしろかったし、単に「やられた!」感があるだけでなく、これから生きる勇気と元気を与えてくれる作品だと思います。
ミステリーのトリックとか、これまでにこうした作品があったかどうかとか、そんなことにこだわる人はイチャモンをつけたくなることもあるのかもしれませんが、純粋にエンターテインメントとして楽しみ、歌野氏が作品の主題として訴えかけているメッセージに共感するという読み方をしてもいいのではと。
うーん、これ以上書けないのが辛い! 読んだ人と話すしかないのは、内容は違うけれど荻原浩の「噂」にも通じるかも。まだ、読んでいない方、ぜひ!
2007年05月02日
このノートに何を書く?
昨日、御茶ノ水の丸善に立ち寄って本と文房具をあれやこれやと見てまわること1時間半。こういう時間は本当に楽しいです。最近は読んだ本のことをなかなかここに紹介できていないのだけれど、2日に1冊ペースでいろいろと読んでいます。最近集中して呼んでいるのは、北森 鴻と池永 陽の作品。昨日も電車の中で池永 陽の「走るジイサン」(第11回すばる新人賞受賞作品)を読み、感激のあまり思わず涙がホロリ。それで、丸善でも同じく池永陽の「水の恋」を購入してしまいました。
写真は、文具コーナーで衝動買いしたノート3冊。B5くらいに見えるかもしれないけれどA5の小さなノートです。表紙(裏表紙)の写真がきれいなのも気に入った理由だけれど、中の罫線が薄いカーキの点線で、下のほうにスタンプみたいなマークもついていて、技あり…だったので。1冊120円(126円)だったし。
でも、このノートに何を書いたらいいんだろう?って、思案中なんです。この間のスクラップノートみたいに、買ってから何年も経って、突然使い途がきまるノートもあるから、たまに手に取って眺めているだけでもいいのかもしれません。
読んだ本の名前と日付とちょっとした感想を書いておく、読書ノートなんかもいいかも。
走るジイサン2007年04月18日
枡野浩一の短歌集「ハッピーロンリーウォーリーソング」
ハッピーロンリーウォーリーソング自分では作れないのに短歌集を読むのが好きです。五七五七七のリズム、短い言葉の中に込められた真実のようなもの…
俵万智、林あまり、佐藤真由美といった現代女流歌人のほか、枡野浩一の鋭さにも敬服します。この「ハッピーロンリーウォーリーソング」は、前半がピンク、後半がブルーという「!」という装丁になっていて、それぞれの短歌に添えられた写真も印象的です。
結果より過程が大事「カルピス」と「ホットカルピス」
四百字ぶんの升目をうめるにも足らぬ三百六十五日
私はこの2つの歌が好きなのだけれど、この間、長男に読ませてみたら「僕はこれが好き」とのこと。
前向きになれと言われて前向きになれるのならば悩みはしない
無駄だろう?意味ないだろう?馬鹿だろう?今さらだろう?でもやるんだよ!
君の心模様が何となく分かるような気がしたよ…
2007年04月12日
あなたの好きな色は何ですか?
私の好きな色500今日は仕事で久しぶりに桜木町&高島町周辺を歩きました。横浜の情報誌の仕事をしていたときに、カメラマン氏と一緒に足が棒になるくらい歩いたことを思い出しました。『足で稼ぐライター』とカメラマン氏に称され、取材のたびに「何か運動やってました?」と聞かれていたのが懐かしい!
さて、待ち合わせの時間より早く着いてしまったので、駅構内の書店に入って思わず買ってしまったのが文春文庫PLUSから出たばかりの「私の好きな色500」という本。
昨年末から2月くらいまで、ある雑誌の特集を3つ担当したのだけれど、(量を減らしてはいるけれど、いまだ、ライターの仕事も継続中です)、6ページものの企画3つのうち、1つが「色彩」についてでした。
そんなこともあって、『色の持つ力』のようなものにとても興味を持っていて、何となく手に取ったのですが、この本は、巻頭に示してある500の色の中から自分が好きな色を選ぶことで、その人の性格を診断してしまうという内容なんです。
500の色のそれぞれに「摘みたてのブルーベリー」だの「清少納言のあこがれ」なんていう名前がつけられているので、それを読んでいるだけでも楽しいのだけれど…
でね、私が選んだのは何だと思います? 「鮮やかなサボテンの花」をセレクトして、性格のところを見てみたら…
うふふ。興味のある方は、この本の「鮮やかなサボテンの花」のところをご覧くださいませ。
2007年01月23日
「メトロポリターナ」のショートストーリー
東京メトロの主要駅に置いてあるフリーペーパー「メトロポリターナ」の1月号は、真っ赤な表紙が印象的。特集のタイトルも「ようこそ赤色の旅へ」。思わず手にして、移動中の電車の中でパラパラとめくり、拾い読みをしていた中で、「サウンドスリープ」(安眠・熟睡)というタイトルのショートストーリーがとても心に残りました。作者は「ふじきみつ彦」という方。谷口巧氏による写真も印象的です。
たぶん20代後半か30代前半のカップル(結婚はしていないらしい)の、ほんの小さな、でも心温まるエピソードが書かれています。

もう、専用ラックに積まれていた1月号、みんな捌けてしまったでしょうか? もしもこの真っ赤な冊子を見かけたら、ぜひ読んでみてください。おすすめです。
2006年08月07日
敬愛する作家「柴田よしき」さんからコメントが!
まさか、ご本人の目に留まるとは思いませんで、“作家の筆力のせい”とか、偉そうなことを書いてしまい、恐縮しているものの、この作品の着想はいつのものだったのかという私の疑問にも答えてくださり、本当に感謝、感謝です。なんと、RIKOで横溝正史賞をもらい、その受賞第1作として書き始めたという経緯もあったのですね。でも、こちらを仕上げるのは機が熟しておらず、「聖母の深き淵」を先に書き上げたとのこと。うーん、こんな大切な話をうかがうことができて、光栄です。
このあたり、上の画像にあるような作品群を読まないと、ちょっとマニアチックでわかりづらいかもしれませんが、興味を持ったかたは、「RIKO-女神の永遠-」から、ぜひお読みください。男性にも女性にも読んでほしい作品です。
さらに、今月から山内練と麻生龍太郎が登場する新シリーズが携帯サイトで登場するという情報までいただいたので、さっき、さっそく入会してしまいました(FOMAじゃないのでパケ放題が使えないのがちょっと痛いんですが…これを機会に機種変しましょうかね)。
とにかく、また練たちに会えるのが楽しみです!
【文庫読み放題】http://www.kadokawa.co.jp/sp/200308-06/
【柴田よしきさんHP】http://www.shibatay.com/
2006年08月02日
齋藤孝「発想力」
発想力「声に出て読みたい日本語」「三色ボールペンで読む日本語」でおなじみの齋藤孝さんの、とても楽しいエッセイです。エッセイなんていうと怒られてしまうかもしれないけれど、タイトルの「発想力」というお堅い言葉とは裏腹に、どんどん気軽に読めて、なんとなく元気が出てきて、ニコリ、クスリと笑える本なんです。
まあ、「三色ボールペンで本に線を引きながら読んでいきましょう」という提案をすること自体が、とてもユニークな発想だし、かつ理にかなっているから、多くの人に支持されているのだと思いますが、この本に載っている数々のアイデアを読むと、齋藤さんという方は、常に脳がものすごい速さで回転していて、いつも何かを考えているのだなあと、本当に感心させられます。
たとえば、「就職難におみそシステムの導入を」という章。おみそシステムって何?という方、これは子どもの頃、大きい人たちと一緒におちびちゃんが鬼ごっこやカンけりをして遊ぶときに、絶対鬼にならない「おみそ」っていうのがあったでしょう? あれです。
つまりね、昔は企業は新入社員に“即戦力”をそれほど求めず、好きなことをのびのびとやっていた活力のある学生を求めていた。だから、入社してしばらくは、給料をもらいながら仕事を覚える…これって「おみそシステム」じゃないかと。
即戦力ばかり求めずに、この昔ながらの方法を取り入れるという発想で、学生を採用することで、荒削りだが器の大きい人物を入社させ、育て上げることができるのではないか…というのが齋藤氏の提案なんです。
こんなふうに、よく読むと時代を分析した、深い内容のことが書いてあるのに、とにかく文章がおもしろいのですいすい読めます。私は某短大の英文科卒だけれど、本当は大学の国文科に行きたかったな…なんて今さらのように思うことがあるのですが、できれば、こんな齋藤先生のいるゼミで勉強したいです。
そうそう、私は今の人生を何も後悔していないし、とてもおもしろい展開だと思っているけれど、もしも生まれ変わって好きなものを選べるとしたら、中学か高校の国語の先生になりたいなと思います(これはね、北村薫の“時の三部作”の1作目、「スキップ」を読んで以来の、私の願いなんです)。
2006年08月01日
奥田英朗「イン・ザ・プール」
イン・ザ・プール直木賞作家、奥田英朗の作品を初めて読みました。「イン・ザ・プール」。どうやら、主人公の精神科医、伊良部が、直木賞受賞作「空中ブランコ」にも登場するらしいのですが、いやはや、ハチャメチャです。
表題作にもなっているプール依存症や強迫神経症、携帯依存症など、ひょんなことから誰でもが患いかねない心の病気になった人たちが訪れる伊良部総合病院の神経科。こう書くと、なんだか深刻な話のようにも思えるけれど、伊良部の治療(?)の仕方は、「いいんじゃないの。そんなに心配しなくても」というスタンスで、逆療法ともいえるべき荒療治。
どんなことも、そんなに深刻に悩まなくてもいいんじゃないのと思わせてくれる、なんとも愉快で痛快な作品です。伊良部という精神科医の風体がもう少し、かっこよくてもいいように思えるけれど、気ぐるみをきたみたいな様子が、どこか愛らしささえ感じさせて人気なのかもしれませんね。
この伊良部のシリーズとして、「空中ブランコ」のほかに「町長選挙」という作品も出ているらしく、文庫になり次第、順を追って読んでみたいなと思います。
2006年07月28日
柴田よしき「聖なる黒夜」
聖なる黒夜山内 練よ。あなたの心の奥の深い悲しみと絶望を、そして泥にまみれながらも決してなくすことのない美しく澄んだ愛を、私はしっかり受け止めました―。
柴田よしきの代表作「RIKOシリーズ」と「花咲慎一郎シリーズ」に登場する男妾あがりのヤクザ、山内 練。そして同じく「RIKOシリーズ」に登場する麻生龍太郎。この二人の出会いとある事件の秘密が解き明かされるとともに、同時進行で一つの殺人事件の犯人探しが始まります。
上下二段に書かれた672ページの大作ですが、練や麻生龍太郎にまつわる真実が知りたくて、結末が知りたくて、分厚い本をバッグに入れ、電車の中でも打ち合わせまでの少しの空き時間にも、ひたすら読み続けました。
山内練と麻生龍太郎が最初に登場した作品は、柴田よしきの2作目「聖母の深き淵」ですが、この「聖なる黒夜」は、38作目の作品で、6年の時を経て出版されています。これは、2作目を書いたときから、すでに着想があったということなのでしょうか? この壮大な仕掛けに圧倒されるとともに、柴田よしきさんの力量に敬服します。
ところで、この作品は、今までのシリーズを知らない方にも、独立したミステリーとして十分読み応えのあるものになっていますし、練と龍太郎のラブストーリーとも言えると思います。
中山可穂の作品に描かれるビアンの恋愛もそうですが、この作品での男性同士の恋愛も、ヘテロの場合以上に切なくて官能的に思えるのはなぜでしょう。ビアンでもバイセクシュアルでもない私だけれど、何かこういう世界が崇高とさえ思えてしまうのは、作家の筆力のせいなのでしょうね。
2006年07月27日
「蟲師」の不思議な世界観にひたる
蟲師 (1) アフタヌーンKC (255)この「蟲師」というコミックも、息子たちに「読んでみたほうがいいよ」とすすめられて手に取った作品です。「寄生獣」と同じく。月刊アフタヌーンに連載されていて、大反響を呼び、深夜にTVアニメ化もされていました。
私が“母もの”に弱いのを知ってか、「まず読むなら第5巻から」と手渡され、さっそく読んでみると第1話の「沖つ宮」というのが、生まれ変わりにまつわる話で、涙がぽろぽろという悲しさでなく、深く物事を、命のあり方を考えさせられました。
第5巻に収められた5つの挿話の不思議な世界観にひかれ、結局第1巻からすべて読みました。ちなみに、「蟲」とは、動物でも植物でもない、生命の原生体のこと。その蟲と人の世界をつなぐ「ギンコ」が主人公となっています。
昨日のニュースで、この「蟲師」が映画化されるということを知りました。ギンコ役はオダギリ・ジョーだそう。私と次男は「いいんじゃない」という意見。長男は「うーん、ちょっとどうかな」だそうです。
TVアニメ化された作品をビデオで観ましたが、こちらは、原作を見事に動画で再現していて感激しました。さて、実写版の映画(来年の春に公開)はどうでしょう? 蟲たちの妖しげな世界はCGで描くのでしょうが、いったいどんな作品に仕上がっているのか気になります。
2006年07月18日
昨夜のTBSドラマ「恋愛小説」
息子に「デュークがドラマになるらしいよ」と聞いて、楽しみにしていた昨夜のTBSドラマ(…スティーブン・キングマニアの息子が私の本棚から江國香織の作品を取り出して読んでいたことに驚いたけれど)。主人公が優香でデュークが中尾明慶だというので、果たしてイメージどおりかしらと二人で放送前からかなり盛り上がっていたら、“愛犬デューク”のイメージにぴったりの中尾明慶くん。泣き顔の優香もよかったですね。
しかも、このドラマ、3つの短編のオムニバスで、なんと前にこのブログでも紹介したことのある浅田次郎の「月のしずく」まで! こちらも最初にちょっとしか出てこなかった北村一輝といい、泉谷しげる、藤原紀香の組み合わせといい、原作のイメージのままで納得の仕上がりでした。
2作目の「十八の夏」は、私がまだ読んだことのない光原百合さんの作品。ひねり具合が連城三紀彦の作品を思わせ、少し影のある女性を観月ありさが好演していました。いつものキャピキャピの役よりも、こういう役のほうがずっといいのになと思ったのは、私だけでしょうか?
素敵なドラマをみて、もう一度原作を読みたくなった夜でした。
デューク
十八の夏
月のしずく
しかも、このドラマ、3つの短編のオムニバスで、なんと前にこのブログでも紹介したことのある浅田次郎の「月のしずく」まで! こちらも最初にちょっとしか出てこなかった北村一輝といい、泉谷しげる、藤原紀香の組み合わせといい、原作のイメージのままで納得の仕上がりでした。
2作目の「十八の夏」は、私がまだ読んだことのない光原百合さんの作品。ひねり具合が連城三紀彦の作品を思わせ、少し影のある女性を観月ありさが好演していました。いつものキャピキャピの役よりも、こういう役のほうがずっといいのになと思ったのは、私だけでしょうか?
素敵なドラマをみて、もう一度原作を読みたくなった夜でした。
デューク
十八の夏
月のしずく2006年07月06日
江國香織「号泣する準備はできていた」
江國香織の直木賞受賞作品「号泣する準備はできていた」がようやく文庫本になったので、読んでしまうのがもったいないような気持ちだったけれど、大切に大切に読みました。
作者が少しずつ年を重ねていくように、小説に登場する主人公たちも以前の作品よりも年齢が上になってきていて、この短編集に出てくる女性たちもみな30代後半です。そして、日々の淡々とした生活の中に何かを抱えていて、だけど自分の気持ちに正直に、まっすぐに生きている…
この作品の中にも、確かに私自身がいるし、自分と重ね合わせて読むと心がひりひりとして辛かったりもします。
でも読後にあるのは、「だけど、これでいいんだよね? だって私は私だもの。これが私らしく生きるということだもの」という確かな答え。読者それぞれの「私らしいまっすぐな生き方」を再確認させてくれるような気がしてなりません。
この作品集の奥にあるもののこと、男の人にはわからないかも…
号泣する準備はできていた
作者が少しずつ年を重ねていくように、小説に登場する主人公たちも以前の作品よりも年齢が上になってきていて、この短編集に出てくる女性たちもみな30代後半です。そして、日々の淡々とした生活の中に何かを抱えていて、だけど自分の気持ちに正直に、まっすぐに生きている…
この作品の中にも、確かに私自身がいるし、自分と重ね合わせて読むと心がひりひりとして辛かったりもします。
でも読後にあるのは、「だけど、これでいいんだよね? だって私は私だもの。これが私らしく生きるということだもの」という確かな答え。読者それぞれの「私らしいまっすぐな生き方」を再確認させてくれるような気がしてなりません。
この作品集の奥にあるもののこと、男の人にはわからないかも…
号泣する準備はできていた2006年07月02日
東野圭吾「時生(トキオ)」
時生昨年、NHKの夜の連続テレビ小説で放映されていて、ところどころ見ていた「時生(トキオ)」。国分太一と嵐の桜井くんの共演がとても印象に残っていたものの、きちんと筋を追ってみていなかったので、ずっと気になっていたドラマの原作をようやく読むことができました。
週末に書店で購入して、今日一気読み。3時間半で読了しました。会話が多いせいもありますが、さすが東野圭吾の作品だけあって、先へ先へと読ませる力はすごいです。未来の息子と、若気の至り満開で、ちゃらんぽらんなことこの上ない父親とのやりとりが、テンポよく進んでいって見事。
話の核になっている追走劇そのものは、たいして魅力的だとも思えないのに、こんなにも引き込まれるのは、やはり、時生と拓実という未来の親子の会話や隠されたエピソードが胸を打つからでしょう。
最後は泣くまいと思っても、涙があふれました。でも、不思議に心がさわやかです。
東野ファンはもちろんのこと、息子のいる父親たちに、そしていつかは父親になるかもしれない若者たちに、そして、その母親たちにも…おすすめの1冊です。
2006年06月30日
井上夢人「おかしな二人 岡嶋二人盛衰記」に今の自分を重ねる
おかしな二人―岡嶋二人盛衰記先月、「2005年版 この文庫がすごい!」ミステリー&エンターテインメント部門第1位という帯にひかれて読んだ、岡嶋二人の99%の誘拐。そんなにうまくいく?と思いながらも、ぐいぐい読ませておもしろく、誰も殺されたりしないところも後味がよくて、「やー、もっと早くに読んでおけばよかったぁ」と思ったくらい。
それが、岡嶋二人という作家の作品を読んだ初めてだったのですが、岡嶋二人は、すでにミステリー好きの方なら周知のように、徳山諄一と井上夢人による共作筆名です。この「おかしな二人」には、この二人の出会いから共作を辞めるまでの歴史のようなものが綴られていて、これまで発表された作品が二人によってどのように作られたかまで種明かしされているのだから、おもしろくないはずがありません!
ネタバレのところもあるので、もっと岡嶋二人の作品を読んでから、この本を読んでもよかったかもしれませんが、私はこの本を読んだことで、かえって「岡嶋作品」への興味がわいたような気がします。
実は、今、私自身も某専門誌への記事を書くにあたって、彼らのようにastyさんと二人でチームを組んで取材・構成・執筆などを行っています。続きを読む
2006年06月26日
佐々木かをり「自分が輝く7つの発想」
自分が輝く7つの発想―ギブ&テイクからギブ&ギブンへ私が使っている手帳「アクションプランナー」の考案者、佐々木かをりさんの著書
「自分が輝く7つの発想」を読みました。副題の「ギブ&テイクからギブ&ギブンへ」に惹かれたのと、昨年12月に「イー・ウーマン」のパーティーでお目にかかったときの印象がとても輝いて素敵だったから。
ギブ&テイク。これは「与えたら奪う」つまり、人から奪うための条件として自分も何かを与える…という駆け引きイメージを持つ言葉だというんですね。それに対してギブ&ギブンは、与え、与えられるという発想。自分からまずは与える、そうするときっと自分にも与えられるのだと。
これは、その後の章で語っている「Win−Win」の発想にもつながります。相手と一緒にプラスになるという考え方。いいなあと思います。
また、「愛を込めて仕事をする」という言葉も心に残りました。仕事で重要なことは継続性。信頼を築きながら仕事を継続させ、発展させていけるかどうかはかかわっている人次第。チーム(会社)の中での人と人とのつながりを大切にし、取引先に対しても愛情を持って仕事をして、相手の目的達成につながるような仕事をしていく。フリーランスであれ、会社組織であれ、それは同じことでしょう。
今、新たなスタート地点に立って、仕事を始めようとしている私にとって、バイブルにしておきたいような1冊でした。

