2008年04月22日

近藤史恵「凍える島」

凍える島凍える島 (創元推理文庫)

文庫本の帯の文言にひかれて手にした近藤史恵の「凍える島」。心の機微とか、感性とか、そんな言葉に弱い私です。

何といっても、私自身が理論的なものの考え方よりは、心に響いたかどうか快く感じられたかどうかということで物事を判断してしまうタイプなので仕方ありません。だからものすごい感激屋で、そのかわりお世辞が言えなくて感情が顔にすぐに出てしまう。いいと思ったものとそうでないものとの落差が激しいです。あまりに直感的に動くので、右脳タイプの典型ともよく言われるけれど、単に大人になりきれていないだけのような気もします。

本の話から脱線してしまいました。この「凍える島」は近藤史恵さんのデビュー作だそうで、ずいぶん前の作品ですが、孤島における密室&連続殺人というミステリーなので、時代背景のようなものがあまり関係なく、違和感なく読めます。

もし、気になる人がいるとしたら、まるで太宰治の作品のように「スゥプ」「ボォト」と、音引きを小文字のカタカナで書いていることでしょうか。登場人物が詩人だったりするところからみても、作者自身が日本語に独特のこだわりというか美学をもっている人なのではないかと思います。

で、帯の文言。かなり後半になるまで「心の機微」だとか「感性」ということは意識しないで、登場人物と一緒になって連続殺人を怖がりながら読んでいたのですが、そういうことだったのか...ということがわかる段になって、近藤史恵が感性の作家とよばれるゆえんに納得させられます。

もう少しほかの作品も読んでみたいと思って、アマゾンで何冊か注文したので、読んだらまた紹介します。




kyoko0707k at 15:20│Comments(0)TrackBack(0) 本のこと 

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