北森 鴻「香菜里屋」シリーズ4冊

花の下にて春死なむ (講談社文庫)

ずっと紹介したいと思っていて、なかなかここに書けないままでいたのが北森鴻の短編連作集「香菜里屋」シリーズ。「花の下にて春死なむ」「桜宵」「蛍坂」「香菜里屋を知っていますか」の全4冊です。3冊までは文庫を買って、シリーズの最後になる4冊目は文庫化が待てずに単行本を買いました。

このシリーズは「香菜里屋（かなりや）」というビアバーを舞台に、マスターの工藤が事件を解決していくミステリーなのですが、はっきり言ってミステリーを楽しみいたいから読むのではなく、そこに登場するお料理が魅力なので読んでしまうという本。

もちろんミステリーそのものも読む価値はあるけれど、たまに凝りすぎてしまっていて、すんなり読み込めないときもあるのが少々難点。ただし、それを抜きにしても、とにかく出てくる料理、マスターの雰囲気や会話、アルコール度数の違う4種類のビールのことなど、お腹が空いているときに読むのはご法度というくらい魅力的です。

この「香菜里屋」は、どこか柴田よしきの「ふたたびの虹」に出てくる「ばんざい屋」にも似ていて、一方がビアバーで、男性のマスター、「ばんざい屋」は日本料理系のお惣菜とお酒を出す、小料理屋というところは違うけれど、ミステリー仕立てのところも同じだし、桜をテーマにした話は、題材そのものも似た話が出てきます。

香菜里屋とか、ばんさい屋みたいなお店を開くことができたら本当に素敵。知る人ぞ知る小さな小さなお店で、ひっそり営業しているけれど、お客様とは仲良しで、「お料理は私に任せてね」という感じでやっていけたらいいでしょうねぇ。夢のまた夢のお話だけれど。

Comments

1. Posted by sumi   2008年04月17日 11:23

続けてコメントを。
わたしも最近最終巻を読みました。
お気に入りの香月さんが、あっという間に〜！

やっぱりわたしにも謎解きより料理の印象が強いシリーズでした。
もうちょっと工藤さんの料理と背景を読みたかったところですが、あえて話を畳んだのは潔いですよね。
美味しいタンシチューが食べたいですね〜。

2. Posted by かに   2008年04月19日 09:29

こんにちは！

今、図書館に「香菜里屋を知っていますか」をネット予約しました。他の図書館から取寄中。連絡待ちです。

久々に小説を読むので、楽しみです。

sallyさんが、お店を出した時は、どんなことがあっても行きま〜す。

3. Posted by sally   2008年04月20日 12:09

◎sumiさん
sumiさんも、香菜里屋シリーズの愛読者だったとは！　本がお好きなようで、共通点がありそうでこれまたうれしいです。

たしかに、この4冊できっちりと話を終えたのは潔いですね。今まで料理中心で読んでしまったので、いずれゆっくり謎解きのほうに主点を置いて、読み直そうと思っています。

4. Posted by sally   2008年04月20日 12:16

◎かにさん
図書館を上手に利用していて、さすがですね！
私も子どもが小さいころはベビーカーを押して、よく図書館に通っていました（そうそう、わが家の長男ははっきり言って成績はふるいませんでしたが、本好き、活字好きに育ったことは、私の育て方が間違っていなかったと思っています）。

「香菜里屋を知っていますか」はシリーズ最終巻だけあって、読み応えがあります。読んだら感想を聞かせてくださいね。

あ、お店のこと、うれしいです。今の仕事のこと、お店のこと…いろいろ考えると、年を重ねることが怖くないというか、楽しみが無限に広がるようで生きていくことが楽しいですね。

5. Posted by かに   2008年05月03日 13:08

昨日、最後の『香菜里屋を知っていますか』を読み終えました。

私も常連（気分）だったので、閉店になる事はだいたい予想はついていたものの、とても寂しい気持ちになりました。

でもここで会ったみんなとは、また会える気がする。（まだ常連気分）
だから、また会う日まで楽しく暮らしていこうっと。
なんていう気分になりました。

また時間をおいて、読みたい本ですね。

紹介してくださって、ありがとうございました。

6. Posted by sally   2008年05月03日 15:22

◎かにさん
4冊読了、お疲れさまでした。

＞また時間をおいて、読みたい本ですね。

私もそう思います。犯人探しやトリックを追うだけの話でないので、何度でも楽しめるかと。

今、1日1冊ペースで本を読んでいてご紹介したい本がたくさんあります。随時アップしますのでお楽しみに♪