2005年12月05日

江國香織「いつか記憶からこぼれおちるとしても」

いつか記憶からこぼれおちるとしても
スティーブン・キングから解放された私が最初に読んだのが
江國香織さんの「いつか記憶からこぼれおちるとしても」。

江國さんはとても「ひらなが」にこだわっているみたいで、あえて漢字を使わない表現が多いので、とてもホッとします。

さて、この作品は私立女子高のある一つのクラスを舞台にした、連作短編集ですが、ものすごく共感できたというか作品の持つ空気感のようなものが本当によく理解できるものでした。

というのも、私自身が中・高ともに私立の女子校育ちでその独特の雰囲気が痛いほどよくわかるからなのでしょう。携帯とかプリクラとか、当時はなかったモチーフが出てきたとしても全然違和感がなくて、私の時代にもしそれがあったら、そんなふうだろうなとすんなり理解できるんです。

たぶん、作者の江國さんと私が2歳違いという、ほぼ同世代というのもあるのかなあと思いました。

でね、一つびっくりしたのが、この作品集の2つめにある「緑の猫」という作品のこと。2ページくらい読んでみて「あれ?どこかで読んだことある…」と思ったら、新潮文庫から出ている「いじめの時間」という7人の作家による短編集の中に収められているものだったんです。

それで、あらためて「いじめの時間」をひも解いてみたら、どうやら先に「緑の猫」ありき…であとから「いつか記憶からこぼれおちるとしても」が発表された模様。

でも…この「緑の猫」に登場する人物は、ほかの作品にも微妙につながっていて、決して独立した話じゃないんですもの。そこが不思議。少なくとも、私は「いじめの時間」で読んだときより、今回の「いつか記憶からこぼれおちるとしても」の一連の流れの中で読んだほうがずっとずっと心に残ったんです。

うーん、何のことやらというあなた、ぜひこの2冊を続けてお読みくださいませ。
(前に辻仁成さんの作品でも、同じようなことを言ったような…)


いじめの時間


kyoko0707k at 05:37│Comments(1)TrackBack(0) 本のこと 

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この記事へのコメント

1. Posted by (ma)   2006年05月03日 21:46
Hi

I have no idea what you are writing about, sorry, but I recognized 緑の猫, so maybe you have a look at my site.

Kind regards

(ma)

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