2005年11月05日

辻仁成「目下の恋人」

目下の恋人

〜一瞬が永遠になるものが恋
 永遠が一瞬になるものが愛〜

のっけから、帯の言葉をそのまま引用で気が引けますが、まさにそのとおりだと思ったので…

久々の恋愛小説、久々の辻仁成。で、短編です。
さまざまな“二人”を取り上げ、その一瞬を切り取ったこの短編集。表題作の「目下の恋人」がやはり出色だと思いました。

目下とは、つまり当面の…ということ。もしも恋人に「目下の恋人です」と紹介されたら辛いはず。でも、ここに登場する“彼”の心の裏には、もっと深い思いがあったわけで。だってね、恋人っていうのは、元々「目下」なんですもの。たぶん、永遠ではありえない。このへんの感じ、うまく説明できないので、何言ってんだと思われた方は、この作品を読んでみてください。

ところで、この作品集で気になったこと。「好青年」という作品があるのですが、どう考えても、この作品を読んだことがある気がして。で、よーく考えてみたら、あの名作「サヨナライツカ」とモチーフが一緒なんです。この作品が書かれたのは、1998年、「サヨナライツカ」が刊行されたのが、2001年。だって、光子といい、沓子といい、登場人物の名前まで同じなんです。ただ、作品の舞台がニューヨークからアジアに変わっている。そして、一大長編に仕上げている。

一度発表した短編を元にイメージを膨らませて、長編に再構築して再び世に出すということがあるのですね。

どうして、こんなに気になるかというと、「サヨナライツカ」は辻仁成の作品の中で1、2を争うほど好きな作品だから。後半は特に号泣しながら読んだ記憶があります。沓子…忘れられない女性です。

なので、この2冊を続けて読むのもおすすめです。

サヨナライツカ


kyoko0707k at 21:09│Comments(2)TrackBack(0) 本のこと 

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この記事へのコメント

1. Posted by ロボラビ   2005年11月07日 18:04
sallyさんこんにちは。
1位・2位を争う1位か2位が気になる・・・なる。
それにしても、「サヨナライツカ」・・・読んでみたい。

「人間は死ぬとき、愛されたことを思い出すヒトと愛したことを思い出すヒトとにわかれる。私はきっと愛したことを思い出す」

どっちかなあ〜。。。
2. Posted by sally   2005年11月08日 02:54
>ロボラビさん、こんばんは。

えっとね、よーく考えてみたんですけどね、「サヨナライツカ」は、1番好きな作品です。2位が「冷静と情熱のあいだ〜blue〜」か「愛をください」か、どちから迷うところですね。

こんなことを言うと、照れくさいんですが、私の内面はたぶん沓子に近いものを持っているんだと思います(こう書いてしまうと、「サヨナライツカ」を読まれるのがヒジョーに恥ずかしいんですけどね…なんて書くと、ますます読みたくなるでしょ?)。

「人間は〜」のフレーズも、沓子の言葉ですよね。私もそうありたいです。

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